神様のいないシフト 公演情報 芝居流通センターデス電所「神様のいないシフト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    びつくり!
    軽~いお話かと思っていたら、何だかブラックになって
    すごいことになって終わった。
    ほんとびっくりした。

    ネタバレBOX

    ミチル(岸潤一郎)は今日もバイトを休みたいと電話している。
    同棲しているナツミ(山村涼子)が宙に浮くのだ。
    でもそんなこと言っても信じてもらえないから、適当な嘘をついている。

    生演奏(和田俊輔)で歌が挿入されるのが面白い。
    とってもゆるい(笑)ミュージカルみたいで、のほほんと若いカップルの
    よくある互いを理解するのに必要なプロセスである
    “相手を試す可愛い嘘”のお話かと思って観ていた。
    ところがナツミの悪魔憑きは嘘だったと判明してからの転がるような展開。
    えーっ、そういうことだったのかと後から前半の伏線が浮かび上がってくる。

    ナツミが通り魔の犯人であったという衝撃の事実が、それまでの軽い笑いをぶっ飛ばす。
    隣の小野寺さん(丸山英彦)に対する優しさの直後の凄惨な殺人、
    あれほど望んでいたミチルの「結婚しよう」という言葉に対する返事が
    自分が通り魔であることの告白となってしまう。
    神様のいなくなった、というか神に見放されたようなこの国で
    悪魔のつけ入る隙ならいくらでもあるだろう。
    そしてまさにナツミに、悪魔はとり付いてしまった。

    豹変するナツミに説得力があるのは演じる山村涼子さんの力だ。
    前半と後半のギャップの大きさ、孤独な殺人者の言葉が良かった。
    ナツミを好きだった隣の小野寺さん役の丸山英彦さん、
    誕生日のプレゼントを渡しに来た時にキャラがにじんでその後の展開を痛々しくする。
    ミチルの同僚まどかさん役の國武綾さん、細い身体でパワフルな声、
    「ウチが勝手に呼んだんじゃ エクソシストを~♪」と歌い
    キレよく踊って存在感大。

    当日パンフに挿入歌の歌詞が出ていて
    「変わらないことなんか無い」という歌が出ている。

    ──土が揺れて 煙上がって 泥が汚れるように
      変わらないことなんて無い
      変わらずに居ることなんて無い
      人も 土地も 誰も 彼も 国も 海も
      変わらずに居ればよいと望みはするけれど
      かわっていくものは 仕方が無い♪

    震災後の日本の“神様のいない”状態にありながら
    変化を受け容れたくない、今までのままがいいと言う自分を自己批判するような歌だ。
    作・演出の竹内佑さんの“天から地へまっさかさま”みたいな
    ギャップの大きさが描き出す、思いがけなくシリアスなテーマ。
    どんでん返しの重なるブラックホラーコメディにびっくりしつつ
    神様のいないシフトが当分続きそうなこの国を思い憂えたのだった。

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    2012/07/24 06:57

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