満足度★
絵に描いた家族(餅ならぬ)
大好きな役者さん、中嶋しゅうさんと倉野章子さんの共演が楽しみで、出かけたのですが、名優だけでは、名舞台にはなり得ない見本のような舞台でした。
3人の作家が共作したようですね。私は、共作とか、リレィ戯曲とか、ロボット演劇とかって、邪道な気がして、あまり好きな形態でない上、そういう形態ならば、演出家が、作品としての一貫性を押し出し、1本の筋道をしっかりと定める必要を強く感じるのに、今回の演出には、そういう技量が不足していると思いました。
どうも、5人の兄弟と母親の人間関係の描かれ方が、表層的で、ストーリー重視な偏りを感じました。人物の肉付けが薄っぺらい印象で、まるで、ワークショップを有料で見せられているような舞台でした。
所々、心に引っかかりそうな場面もあるのに、それがそこだけで、ぶちきれて、持続性がないのです。
台詞で語られる登場人物の情報と、役者の見た目にも、落差がありすぎ、描かれている世界を斜めに観ることしかできませんでした。
玄人の仕事ぶりが一番感じられたのは、音響スタッフさんでした。
私の後ろに座っていらした、一般客に迷惑を掛ける演劇記者だか劇評家さんも含め、プロの仕事を見せ付けて下さるのが、中嶋さん、倉野さん、西尾さん、音響さんだけというのが、ちょっと残念でした。