満足度★★★★★
控え目ながら効果的な心理分析と音楽
ドラマ等で有名な女優さんも出演されていて、
「でも演技はどうなのかなあ?」などと失礼なことも思いながら
会場に向かったのだが、観終わって、充実感が心の中にみなぎっています。
ある意味、ベタな話とも取れなくは無い内容ですが。
離婚した父母の間の一人娘は、24歳だが、働きに出るわけでもない。
一応、「会計士の受験勉強中」という言い訳は用意しているが。
そこに、ファッション雑誌編集長である母に新しい彼氏ができる、
また、父の再婚相手(以前は母と同じ勤務先であった)も登場、
こういう中で、ある意味、「ベタ」を超えて、
「心理劇」とも取れる内容が進んでいく。
そう、例えばイプセンほど強烈には
「心理分析」が表立っているわけではない。
しかし、一見ソフトながらも、
見事な心理分析がやはりこの芝居を通じて存在しており、
そしてその秀逸な台本を、演者たちもまた見事に演じていたと思う。
それからもう1つの特色は、劇中、音楽がほとんど鳴らないこと。
暗転時や場面転換時に、一つ覚えのように、
賑やかな音楽を掛けることが多いように日頃感じているのだが、
転換時のみならず演技中も、基本的に音楽は鳴らない。
つまり、台詞と振りだけで勝負、ということ。
でも、後半に主人公「みのり」の長い独白があって、
そこでは控え目にBGMが流されていた。
こういう手法も心憎いという他ない。
シアターグリーンにしては、結構「いいお値段」のチケット価格だが、
充実した舞台が観られたこともまた確かである。