果てしの花園 【ROSE】 【JASMINE】 公演情報 室生春カンパニー 劇団 風の森「果てしの花園 【ROSE】 【JASMINE】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    楽しく魅せてもらいました
    小雨の中での観劇です。
    どうも健忘症、甚だしく、劇を観ているうちに、
    「あっ、この劇団、「リヤ王」で一度観た」と、思い出したのです。
    たしか、コーデリアが伊藤衣里さん、リヤ王が座長さんでした。

    前回の劇では、私はこんなコメントを書きました。少し長いのですが・・・

    「「リア王」は、私が観た商業演劇の中で、人生最初の劇。
    池袋の東武デパートの中に(当時)あった劇場で、文芸部の先生に連れて行ってもらったものです。その強烈な印象から、劇が好きになる自分が始まるのだが、じつに43年ぶりの「再会」。

    今回の劇も、期待に背くことなく、なかなかの意欲的なものだという、最初の印象。
    古典を古典のままにせず、途中でミュージカル的な場面を入れたり、ギター、ヴァイオリンのBGMを流したり・・・切れ目のない展開は、二時間を長いと感じさせないものがあった。
    「長老」的な室生さんと、たくさんの若い劇団員が、うまくバランスのとれた構成となっていて、あと数年もするころが最適なハーモニーを醸し出すのではないかと思えた。

    親子の絆、権力の醜悪さ、計り知れない人間の欲望、人生の儚さ・脆さ。それらの表出で、劇の展開中、何度も胸を打たれた。
    まだまだ、荒削りな若手の演技なのだが、それをもってしても余りある劇となったと思った。

    といった讃辞のあとに、私なりの「苦言」もいくつか。
    ①歌を挿入して、「荘厳」さを出そうとしていたが、歌が続いても、なかなか重い雰囲気がでなかったと思う。低音部が、ないか、または軽視されているのではないか。合唱の効果は少なかったと思えた。
    ②嵐の場面の演出が、寂しすぎる。照明でライトを回す程度でもいいから、なんらかの工夫がほしかった。
    ③道化役は、よほどうまく使わないと白けるものだが、今回はその比重があまりにも、低かったと思う。戯れ言の中に、本質的な箴言の含まれる、道化の言葉を楽しみにしていたが、今回は空回りしていた。

    私の観た範囲での、好演の俳優。(座長は対象外で・・・)
    ケント役 肩を張らない自然な言い回しが良かった。
    エドガー役 後半の表情がすばらしかった。
    と、ここまで書いてきて、今回のような劇では、この評価は難しいのかなと思う。
    おそろしく個性的な俳優もいるにはいるのだろうが、この劇からは探しきれなかった。申し訳ない。

    はじめての劇団だが、おそらくは座長が、太く大きな背骨となって、日々進化している劇団だと思った。若手がたくさんいることも頼もしく思える。

    期待は大きい」

    さて、今回の劇です。

    若い俳優さんが、めいっぱいの演技を重ねている合間に、座長さんの「息抜き」が適度に挿入されている。2度目とあって、私なりに、この劇団になじんだ楽しみ方ができました。
    私の印象では、新垣さんと、伊藤さんが、二本柱となっている感があり、阿部さんの体当たりの「ボケ」、田村さんの、客席にまで唾が飛んでくるのではないかと思えるほどの熱演、座長の緩急織り交ぜての展開のテンポの転換と、うまく役を配置しての劇となったのではないでしょうか。
    荻窪小劇場のステージが、あまりにも狭いために、ダンスで大きな振りができにくいことを恨みました。
    一見さんには、劇団の特徴が分からずに、やや取っつきづらい面があったと思いますが、私は、この劇団に流れている雰囲気や、方向性(私の勝手な推測の「真摯」さ)には、共感できるものがありました。


    私なりの苦言です。劇団の成長の糧となることを願ってのものです。
    ①「踊りは専門ではないから」と言われたら、実も蓋もないのですが、そしてあの狭さも加味してですが、あまりいただけませんでした。人数が少ないこともあってのことかもしれません。
    ②最後の場面に至るまでの伏線に、少しいらいらしました。好演ではありましたが、阿部さん関連の場面は、いらなかったのでは?
    ③私の観た二回とも、舞台道具、美術には、あまりこだわっていないように思えたのですが、これは意図的なのか、予算の都合なのか、やや不明でした。舞台も、劇が成功するための大きな要素だと思います。
    ④若い二人の役者さん以外の若手に、まだ個性を感じられません。半年ぶりに出会った役者さんの一層の奮起を期待しています。

    まだ荒削りかなと思える劇団。若さ自体、ひとつの魅力です。
    「老成した」(失礼)座長を追い越す劇団員が、一人でも多く輩出されることを願っています。

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    2012/07/03 01:23

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