満足度★★
ロックと反抗
ブルーハーツの沢山の名曲を劇中歌として用いた、大人になっても夢を捨てきれず、反抗する人達を描いた作品で、笑い、恋愛、裏切り、アクション等が盛り込まれ、エンターテインメント系の王道を行く作りでした。
8年振りの再演とのことで初演は観ていないのですが、今の社会状況を反映した設定になっていたので、初演版そのままではなくて改訂したのだと思います。
メジャーデビューを目指しながらも上手く行かないバンドが崩壊の危機に陥り、社会的に間違った方向へヒートアップしていく話に、2つの三角関係が絡み、苦々しい終焉を迎える物語でした。
舞台の異なる場所で別のシーンを次々に繋いで行くスピード感のある演出で飽きさせませんでした。物語とブルーハーツの曲の歌詞が巧みにリンクさせてあって興味深かったです。子供っぽいベタな感じの笑いが多用され、古臭さを感じました。話の展開上、仕方がないのですが、頻繁に携帯電話の呼び出し音が鳴るのは不快でした。
原発問題、在日朝鮮人、過激派、警察の隠蔽体質といった社会的なトピックが多く盛り込まれていましたが、表面的に描かれるだけで、物語の展開においてあまり関わりのない要素もあり、ただのエンターテインメント作品ではなく社会のことも考えているとのポーズを取っているだけに見えて興ざめしました。
出演者はオリジナルの甲本ヒロトさんのヴォーカルとは異なる洗練された歌い方で、それはそれで楽しめましたがしたが、原曲の荒々しい魅力が損なわれているように感じました。
丸尾丸一郎さんは他の出演者達に比べて一般的な意味での歌唱力が圧倒的に低かったのですが、それが役柄にも合っていて、演技も含めて一番魅力的に感じました。