GO HOME 公演情報 サスペンデッズ「GO HOME」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    闇に光明を見る想い
    早船さんのお芝居を観る度、そう思うのです。

    早船さんのような演劇人が存在する限り、私はまだ演劇に絶望はしないぞと思います。

    ヒトの感情の流れを奇をてらうことなく、細密に、それでいて、一切の無駄なくシンプルに表出できる、類稀な劇作家の筆力と、その世界観を見事に体現できる役者さん達。その連携プレイの秀逸さに、何度も涙し、心身の震えが収まりませんでした。

    まるで、私にとっては、小劇場界の希望の星のような劇団です。

    もしも、私が、もっと早く、この劇団に出会っていたら、我が家の歩む道も、もっと別にあったかしら?とか考えて、胸がはち切れる想いがしました。

    息子の養成所同期の間瀬さんのご出演は、嬉しい反面、そういう個人的な思いも重なり、複雑な心境でした。

    どうか、サスペンデッズは、このままであってほしい!
    この劇団の役者さんは、本当に、恵まれていると感じます。

    これだけ、脚本と演出が的確だからか、演じる役者さん達の魅力も炸裂。

    芝居の登場人物全員に、絶え間なく好感を覚え、劇場を後にするのが、心残りでなりませんでした。

    ネタバレBOX

    昔、2000人の応募者の中から、何故か私が選ばれたFMラジオのオーディションで、私は、当時好きだったさだまさしさんを例に出し、彼の歌詞の素晴らしさについて語ったことがありました。

    彼は、歌詞に「愛してる」とか「君が好き」とかいうダイレクトな言葉を使わずに、見事に人物の心情を描く術に長けていました。

    早船さんの台詞には、その当時のさだまさしさんに共通する、心情の卓越した表現力をいつも感じます。

    今回の作品でも、真澄の和博に対する、彼女なりの愛情吐露の台詞に、何度も心を揺り動かされ、心の中で、慟哭しました。

    和博と真澄の別れの場面から始まり、二人の小学生時代の初対面の場で終る、芝居構成の巧みさはもちろんのこと、周囲の人物の描き方も、秀逸極まりなくて、それぞれの人物同士の心の流れが、作り事ではなく、一々、共感を覚えるのです。

    このストーリーのシチュエーションと酷似した作品を過去に幾つも観てはいますが、早船さんの描く人物には、生来の悪人が一人も出て来ないんですね。

    アルコール依存症で、息子に暴力を振るう父にしても、下級生を恐喝する女子高生にしても、登場人物に、しっかりと作者の愛情が注がれて、一人もご都合主義の登場人物がいないのです。

    その上、それを演じる役者さん達が、これまた素敵な演技表現をされる方ばかりで、批難すべき箇所が全く見当たらない。

    しいて言うなら、題名が、内容をイメージしにくいという部分ぐらいです。

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    2012/06/19 22:44

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