満足度★★★★
孤独と再生
女性6人によるタンツテアター的作品で、笑いのない真面目な作風ですが、重苦しいわけではなく、清らかな雰囲気があって魅力的でした。
会場の中央に吊り下げられた裸電球が1つずつ過剰な電圧が掛けられ眩しく輝いた後に切れるのが繰り返され、6つとも切れて真っ暗になり、明るくなると6人のダンサーが立っているオープニングが圧巻でした。
ポリビートの音楽と多彩な照明の中でクールに踊りまくった後は静かなシーンが続き、口に指を入れて引っ張って顔を変形させたり、バケツに注いだ水を床にぶち撒けて、それをモップで拭き取ったり、顔を衣装で覆っておぼつかなく歩いたりとネガティブな雰囲気の後に、宗教儀式を思わせる手の動きが反復され一時の平静を得た感じでした。
その後にあった、1人が他の5人に「来て」と優しく呼び掛けるものの無視されてじたばたしながら絶叫するシークエンスは表現が生々し過ぎて、他の部分から浮いて見えました。
ベートーヴェンの『運命』第4楽章が大音量で流れ、金銀の紙吹雪が送風機で巻き上げられる中、バドミントンをするペアがいたり、フラッシュを焚きながら写真を撮ったり、それまでに出てきたムーブメントが回想されたりと混沌とした祝祭的な高揚感が印象的でした。
終盤は冒頭の立ち位置に戻り、再び宗教的な手のダンスが踊られ1人が取り残され、紙吹雪を掻き集める中、外の部屋から送風機を持ったダンサーが近付いて来て、隣り合った瞬間に暗転して終了という終わり方が不思議な余韻を残していました。
しなやかなムーブメントが美しく、群舞の時には目まぐるしくダンサーが入れ替わり、見応えがありました。水にまつわる小道具がいくつか使われていましたが、あまり効果的に見えなかったのが勿体なく思いました。
映像を照明的に用いたり、様々な色彩や照射エリアがあったりと、照明が効果的で素晴らしかったです。