燕のいる駅 公演情報 Cucumber「燕のいる駅」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    今置かれる自分を振り返り・・・・
    5月19日、三鷹芸術文化センター星のホールにて「燕のいる駅」を観てきました。

    ある駅に流れるいつもと変わらない時間。
    しかし、遠くの空にタヌキの形をした雲があらわれたことから、そこにいる人々は「世界が終わるのでは?」と考え始める。
    でも、外は、何も変わらない風景がそこにあるというのに・・・・

    ネタバレBOX

    駅には、のんびりとした性格で、事の次第を受け止めていない駅員「高島」と外国人の同僚「ローレンコ」、そして売店の店員「有本」が残っていた。
    そして、弟の帰りを待つ有本の元家庭教師「下河部」と葬儀会社の社員「真田」とその上司「水口」がいた。そこに不思議な男性「祭」をローレンコが駅に連れてきたことから、人々の不安が広がっていく。

    初演1997年、MONOでは1999年、さらに2005年にも再演されている本作品。
    震災もあったものの、内容やそこにあるメッセージは、色あせないものだと感じた。
    そして、それを生み出した土田英生という脚本家の才能に驚いた。

    私事ではあるが、まだ5月の終わりは、大きな行事の前ということもあり、気持ちの焦りがあった。
    仕事も立て込んでいて、正直、気持ちが落ち着かない日々を送っていた。
    その中で、この作品を見たとき、「真田」の落ち着かない感じや大声で威嚇する割に、「世界が終わるかもしれない」不安に対して弱気なところを見ていると、なんだか自分を映し出されているような気になった。
    真田と水口は、最後に2人で逃げることを選択するが、この時、真田がとても弱気だったことがどうしても定期大会へ向けての自分を見ているようで痛々しささえ感じた。
    そして、自分にとっての「水口」はいるのだろうかとボヤッと考えてしまった。

    最後に、今回、土田さんが演目を「燕のいる駅」に決定した1ヶ月後、東日本大震災が起こったという。それに対し、土田さんは演目を変えようか迷ったとパンフレットに書いてあった。
    確かに、あの震災・原発の被害を画面上だけではあるものの、目の当たりにした人たちが、「燕のいる駅」を観た際、あの場面を思い出す人も多いだろう。
    しかし、この作品があの被災地の現状を見せているわけではない。
    そう考えると、私自身は、この作品が、今、上演されることに、なんら疑問は抱かなかった。
    毎回、見ている人に疑問を投げかけ、考えさせる場面を作りながらも、笑いやホッとする場面も用意できる土田さんの脚本が好きで、次の土田さんの作品にも期待をしたいと思います。

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    2012/06/10 22:01

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