翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮) 公演情報 バナナ学園純情乙女組「翔べ翔べ翔べ!!!!!バナ学シェイクスピア輪姦学校(仮仮仮)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    だまし討ち!かと思いきや……
    3度目のバナ学体験。客席に用意されたレインコートのあまりの薄っぺらさに、バナナ慣れした観客への「舐めてんじゃねーぞ」な警告メッセージを感じた私は、のっけからかなりの防御テンション。確かに水とワカメの量や勢いには、「後方席だからといって許されるわけではない」という気合いを感じました。しかし、「シェイクスピア」というお題があったせいなのか、全体としては実は「やや大人しい」作品だったと感じています。

    ネタバレBOX

    今回はシェイクスピアを題材にしたとのこと。舞台上にはロミオとジュリエットをはじめとする有名登場人物たちが次々と登場、口々にそれらしきせりふ(引用?)を叫んでみたり、演じているようでした(水をかぶり、ワカメを浴び、飛び交うゴミを避けながら見た限りでは、ということですが)。彼らはきっと「亡霊」なんでしょうね。数多くのシェイクスピア作品の中に描かれた、すれ違いや敗北のドラマが、今ここに召喚されているという意味での亡霊でもあり、また、もしかしたら、「演劇=シェイクスピア」という一種の呪縛の意味での亡霊でもあるのかもしれない……ゾンビのように死んでも(倒れても)甦る彼ら彼女らの姿を見ながらそんなことをふと考えました。

    惜しむらくは、この「シェイクスピア断想」と、バナ学的狂騒の掛け合わせの結果、いつもの「るつぼ」感も、明確で冷厳な「演出」の存在感も、そのどちらもが「やや薄れた」感じがしたことでしょうか。バナ学の作り出すカオスの魅力は、アナーキーに見えて、同時にそれが統制されたものであるという、一種の冷たさ、寂しさを感じさせるところにあるのではないかと思います。無礼講の中の一筋の冷静さと孤独が、むしろ、観客と舞台の距離を埋める、というような……。

    パーティー(無礼講)をしてみせながら、実際には巧妙に観客をパーティーに誘い、パーティーをさせてしまう。劇場の革命はそんなふうに起こるのかもしれず。バナ学にはいつも、そんな革命児であってほしいと思っています。

    【付記】こうした破天荒な舞台の実現をがっちりサポートしている、劇場、カンパニー制作の方々には心から敬意を表します。当日劇場前の歩道までもが開演を待つお客さんで意図せずしてカオスになっちゃってましたが……そこらへんも今度はきっと、凄まじく「ビシッ」と修正してくださると思っております。

    0

    2012/06/04 12:35

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大