満足度★★★
アンコちゃん奮闘記に期待
主人公アンコの爆走キャラと帯金ゆかりさんのエネルギッシュな演技、存在感が今も鮮やかに蘇ります。(ダメな)彼氏大好きパワーで、現代社会の暗部がほの見えるヤバい場所についうっかり足を踏み入れちゃう「アンコ」シリーズもいけちゃうかもしれませんね。
女子は可愛いし、演出も賑やか。サービス精神にあふれた舞台でしたが、正直もう少し緩急が欲しかったです。カジノの場面の華やかさや時折挟まれるギャグも、あまりにも「全力投球のサービス」の気合いに満ち満ちていて、ここまで完成度を高められるならむしろ、人と人の関係を見、せりふを聞く余白も持ちたかったなと思うのです。そういうところにこそ、エンターテインメントの奥行きは現れるのではないでしょうか。
「カジノ利権と地域経済」というテーマをエンターテインメントに昇華しようという心意気は大いに買うところです。脚本の執筆前には取材もされたとのこと。であれば、(ディテールでも構わないのですが、)この問題について、もうひと息深い、オリジナルの視点を押し出して頂けると、いっそう野心的な作品になったのではないかと思います。華やかさと勢い、分かりやすさの中に、社会性が埋没してしまった感がありました。