満足度★★★★
家族
誰でも感じる家族関係のわずらわしさとかけがえの無さを、婚礼と葬式という人生の二大イベントを入れ子細工にして演じることで好演。更に婚礼から葬式までのサンドイッチに、結婚詐欺、財産目当ての婚礼などを疑わせる事件性を取りこんで中身を充実させつつ、ぐいぐい引っ張ってゆく巧みなシナリオと演出が見事。またこの作家の日常生活への観察眼の鋭さ、確かさは破格のものがある。たとえば婚礼の流れでは、苛めや引き籠り、ディスコミュニケーションという現代の問題を取り入れ、ネット社会とリアル領域の境界域の問題も扱っている。葬式の流れの方では、遺産相続問題や実子と義理の子との微妙な問題も提起。これは、3.11で親を失った子に対する作家のまなざし、と見るのは深読みが過ぎようか? だが、そんなことまで想像させるほど、優れた脚本であり、演出であった。無論、役者陣の演技の質も高いものであり、微妙な人間関係を見事に演じ分けていた。
2012/05/16 01:09
ご過分なコメントをいただき、恐縮してしまう次第です。
今後とも劇屋いっぷく堂を何卒よろしくお願いいたします!!