おかえりなさいII 公演情報 うさぎストライプ「おかえりなさいII」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    その100%が
    「星の王子さま」を感じつつも、当たり前の日常が当たり前じゃなくなる現実への葛藤を、おもいっきり動いて見せてもらいました。創り手が稽古して100%に近づけた感情を全力でぶつけても、観客の自分がそのまま受け取る事が出来ないなんて、人間って面倒くさいなと思いつつ、とても共感しました。

    ネタバレBOX

    原作「星の王子さま」。地球に降り立った王子はキツネに「仲良くなる(飼い慣らす)」ことを教わる。10万人の内の1人である王子と10万匹の内の1匹のキツネではお互いにとって必要な存在ではない。でも、仲良くなれば、お互いにとってこの世でたった一人(1匹)の存在になる。

    本作では、かけがえのないたった一人の存在への思いは、学校や職場からの帰り道でのエピソードから生まれる。そして、各々のかけがえのない一人が乗ったフランス行きの飛行機が墜落して帰ってこないことがわかる。会場で配られる公演パンフレットには物語への最たるメッセージ「当たり前に明日もその人に会えると思っているから、ほんとに好きな人にはほんとに言いたい事は言えないけど、でも当たり前に明日も会える保障とかどこにもないよなぁ」とある。

    そして、飛行機事故の前と後のそれぞれの思いは「汗と涙でぐしゃぐしゃになる」体に過度に負荷が掛かる(スクワット・劇場の壁を押す動作・他の俳優を持ち上げるなど)、もしくはシアターゲームをやりながら台詞を言う形で表現される。それらの演出は普通に喋るだけでは抑制されてしまう、自分の気持ちや感情を100%発露するための作業だと思う。自分の思いを自分が思ったとおりに伝えることの不可能であること、でももっと伝えたいしわかってほしいこと、その普遍性を体現しているなと思う。何より、その全力な動きは見ていてコミカルで楽しい(役者にとっては相当の負荷だと思うけれど)

    物語の冒頭と最後。事故で亡くなった者と残された者が「ただいま」「おかえりなさい」という台詞のやりとりをする。「ただいま」も「おかえりなさい」も相手に向けて発する言葉なんだな、という自明の理を再認識して、その大切さを噛みしめながら、普通に電車に乗って、普通の生活に戻るのだ。

    初日乾杯も行われて、ビールまでいただいて。良い芝居観た後に、飲むビールは格別だなぁと思いました。

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    2012/05/05 00:32

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