BUS DRIVER【終了致しました。ご来場誠にありがとうございました!】 公演情報 机上風景「BUS DRIVER【終了致しました。ご来場誠にありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    モノローグが織りなす原初的・根源的な世界
    前回「このまちのかたち」では、「台詞が聴こえなかった」ということで、
    あえて辛い評価(☆2)をしました。
    でも、黒くて、ほとんど小道具がなくて、そして照明が印象的な舞台美術は、
    今でも鮮明に覚えています。
    そして、なにやら原初的・根源的なものへの回帰・回想とでもいうか、
    そういう他劇団では味わえない世界を紡いでいるように思います。
    (無論、象徴的手法と括ってしまうことも可能でしょうが。)
    前回、辛い評価にしてしまったのは、
    「台詞がぎりぎり聴こえていれば、素晴らし過ぎたのに」という、
    ある種の大変残念な思いが、私の潜在意識にあったからかもしれません。

    今回は、バスの運転手が主人公で、
    バス車内を模したように椅子が配置され、
    つまりは決して奇をてらうものはなく、一見平凡とも言える装置。

    しかし、公演が始まると、やはり、前回同様独特の世界がステージ上に
    存していることに気が付きます。
    (以下、軽いネタバレ)

    ネタバレBOX

    この芝居、「会話」は無いわけでもありませんが、
    基本的に「長い独白(モノローグ)」仕立てなんです。
    話す相手はいるけれども、一方的に話す・・・。
    実質的には独白。
    最初は運転手、次におばさん、幼馴染のその娘、
    やはり幼馴染のベトナム人娘、ぎくしゃくしている実母、そして亡兄・・・。

    そして、これらモノローグは運転手の想像?幻想?
    特に、亡兄まで出てくるのだから、現実でない設定と
    理屈では一応言えましょうか。

    でもね、何が非現実で何が現実か、
    そんなに簡単には判別できないのではないのか・・・?
    そう思わせる何かがこの芝居にはあります。

    かといって、決して堅い作りではなく、今回は笑いの要素もふんだんに
    取り入れられています。

    前作について冒頭に書いたことの繰り返しになりますが、
    もっとも根源的で、もっとも真なる存在って、
    もしかしたら、この劇団が毎回追求し、表現しているものなのではないか?
    そんなことを強く思わせる、特異な、そして得難い劇団です。

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    2012/04/29 23:44

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