へちま -糸瓜-【全公演終了!ご来場ありがとうございました!!】 公演情報 文月堂「へちま -糸瓜-【全公演終了!ご来場ありがとうございました!!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    丸まりきらないキャラクターのリアリティ
    物語が広がっていく中で
    表層の尖った感じに
    キャラクターたちの素の想いが重なって。
    ウェルメイドな家庭劇ではないけれど、
    観る側が委ねられる奥行きが生まれていました。

    ネタバレBOX

    当日パンフレットに描かれた相関図をみて
    かなり複雑な人間関係を想像したのですが、
    前半の舞台に描かれる世界は
    それを当たり前のことのように包み込んで
    とてもわかりやすくて・・・。
    むしろその背景は
    キャラクターたちそれぞれの個性が
    浮かび上がってくる中盤以降に
    しなやかに効いてきます。
    一人ずつの個性を照らしだす
    バックライトのように
    ひとりずつが抱えるコアに
    エッジを創り出していく。
    表層が観る側に馴染むに従って
    設定が導く立体感のようなものが現れてきて
    舞台上で描かれない時間まで
    彼女たちが歩み、そして歩んでいくであろう時間の
    質感として観る側をとりこんでいく。

    三人姉妹にはくっきりとした
    トーンの貫きがあって
    そこに重なる周辺の人物たちが
    エピソードを編み込み、
    ひとりずつの色を浮かび上がらせていきます。
    その組み上げがとてもしたたか。

    キャラクター達の尖った部分が
    役者たちの緻密な演技とともに
    高い解像度で作りこまれているのですが
    物語が進んでいく中での
    その丸まり切らなさのようなものが
    実に秀逸・・・。
    展開の中でそれぞれの個性が
    ドラスティックに変わることはおろか
    ほとんど崩れることなく、
    でもその形状や色がほんの少しだけ
    変わったように感じられる部分があって。
    そこには
    時間に染められたものから伝わってくる
    とてもデリケートでリアルな
    生きることへの感触があるのです。

    いわゆるウェルメイドのドラマとは違って
    煮込まれ切らず
    ごつごつした食感が最後まで残されていて。
    その実存感あるから、
    終演の時間からこぼれた
    ちょっと解けたようなウィットに
    流れる時間の瑞々しさて愛おしさが
    とても自然に降りてきて、余韻として残ったことでした。

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    2012/04/29 10:33

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