夢!サイケデリック!! 公演情報 範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    質感の描写力
    一言で説明すれば、
    確かにタイトルどおりの内容なのですが・・・。

    見ているうちに
    作り手の、質感の描写力にとりこまれ、
    気がつけば自分が観ているがごとく
    その夢に閉じ込められておりました。

    終わってみると
    長いような、短いような時間・・・、
    しっかりと取り込まれておりました。

    ネタバレBOX

    夢の話であり
    描かれるものに
    ぞくっとくるほどにリアルな夢の質感があって
    たぶん、観る側がいろんな取り込まれ方をする
    作品なのだと思う。

    きわめて私の例でいうと、
    何もないところから
    言葉としぐさで世界が素描されていくような冒頭、
    それが広がり学校の授業での
    夢の話に行くあたりまでは
    物語を外側から見ていた。
    で、授業の風景を夢との対比の中でそのまま眺める。
    その授業の雲行きがかわり
    夢がさらに外側に覆いかぶさってきても、
    まだ、夢の構造のなかで
    舞台を追いかけていたように思う。
    ピンポンだまから広がるものや電気製品の変態に
    目を奪われても
    それはまだ、舞台上の出来事として眺めていた。
    ルーズなエピソードの掛かり方やその崩れ方も
    理性のフィルターを通じて受け取って
    醒めた感じで見ていたような気がする。

    それが、目覚めた夢のシーンで
    決定的に視座を変えられて・・・。
    一旦、夢の感覚から離れたものが
    さらに深い夢の世界だと気付いた時、
    もはや、それは夢の外側ではなくなっておりました。
    作り手の圧倒的な質感の描写力に
    観る側としての視座が
    したたかに塗り替えられてしまっていた。

    夢の中にいる意識、
    シーンのつながりの歪みがそのままナチュラルに入り込んでくる感覚、
    抜け出したい欲望と
    やりようのないままにそのままに委ねてしまう感覚の
    端境感・・・。
    時にはコミカルに、あるいは極めてリアルなビジョンとともに
    描かれるシーンの解像度に目を奪われる。
    マクロな広がりと刹那の感触が
    夢の世界だと当たり前のように同居する。、
    事象や世界の俯瞰と
    恋人との刹那の時間の肌触りが混在した
    醒めない夢をずっと巡り続けているような感覚・・。

    役者たちも上手いのですよ。
    感覚の主体が戻る先を背負い続けたり
    しっかりとした切れで存在の軽さを描き上げたり
    ベースのトーンを塗りつぶしたり
    献身的な演技の継続でシーンを絶妙に結びつけたり
    あるいは貫いていったり・・・。
    それらの重なりから
    夢の外面と内面を立体的に編み上げられていて・・
    嵌る・・・。

    本当に秀逸な絵の前に立ち
    時間をなくしてその世界に捉われてしまったような
    そんな感じのままでの終演。

    初日ということもあり、
    本当に微小なバリのようなものはあったのですが
    公演を重ねれば
    それも含めて
    なにか味わいに変わっていくような予感があって・・・。

    この作品、なんとかして、再見したいと思ったことでした。

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    2012/04/29 08:31

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