キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』 公演情報 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ「キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    現代演劇が大きく進化しようとしている!
    この瞬間をお観逃し無く!

    古典戯曲を現代の日本人が演じる時に感じる、
    嘘臭さやどうにも居心地の悪い違和感を、
    ペロンッとキレ~イに引っぺがす演出方法とは何か?
    を段階的に観せてもらった感じ!

    それはまさに、
    台詞の持つパワーと役者の感情表現のパワーと
    どんな風に演出家がコントロールし、
    完全なる大嘘の世界を仕立てあげるのかに
    掛かっているのかなと。

    ま、いかにもなのがお好きな方は、
    世界の蜷川の舞台をどうぞ、どうぞ。

    ネタバレBOX

    【第1幕】菅尾友バージョン
    現代的な衣装やしゃべり方を使って観せるという、
    比較的良く観る手法で、
    まぁ、導入部としては無難にコレ位が良いのかなと。

    しかしながら、
    主人公であるロミオとジュリエットを不在にし、
    プロンプターがその役を担わされるというアイデアは、
    “演劇っていうのはね”的なスノッブな匂いがして
    いかがなものかと。

    観客が一番観たい!と思う人物を、
    登場させるさせないに関わらず、
    最大限に魅力的に描き出すべきだと思うのだけれど、
    それを敢えて目立ちにくく、興味を持ち辛い
    地味でマイナスな方向に表現するのは、
    得策ではないでしょ?と。

    やはりココは正々堂々と
    ロミオとジュリエットの存在を
    新しい魅せ方で提示して頂きたかったなと。


    【第2幕】富永まいバージョン
    ロミオとジュリエットの2人を、
    複数組増殖させ、同時多発的に観せるのが面白い!
    ただ残念だったのは、
    それぞれが最後までバラバラに描かれてしまって、
    より大きく強力な印象をロミオとジュリエットに
    持てなかったのが勿体無かったなと。
    ※この日の昼間に“小指値”を観てしまったもので、
    そこで、1人の女の子を5人で演じる手法が、
    あまりにブッ飛んでいて凄すぎたので、
    どうしても比較してしまうのですよ。

    【第3~5幕】多田淳之介バージョン
    客席に向かって朗々と台詞を語るという、
    演劇の最も恥ずかしい手法を
    そのパワーをぶつける方向を舞台端に変え、
    さらに台詞を語る動作を感情表現から切り離して、
    “だるまさんが転んだ”の動きに移植するという、
    誰もが想像しなかったような演出!

    尾崎豊の行き急ぐ様に疾走感溢れるライブ音源に合わせて、
    はなむけの白い花を持った喪服姿の登場人物達が、
    次々と力の限り台詞と感情を舞台上の一方向にぶつけ、
    死に絶えていく姿に目が離せなくなり、
    台詞も一言も聞き漏らすまい!とかぶりつき状態に!

    滑稽ですらあるけれど、彼らの姿がとても美しく、
    逆にこの物語の悲劇性がクローズアップされて凄いなと!

    そして、若さが爆発してるSPEEDのライブ音源に曲が変わり、
    台詞に感情を乗せず、遥か彼方へ向け、
    ただパワーを爆発させるだけの女優陣の台詞回しとダンスが、
    悲しみを通り越した時の人間の極限の姿の様!

    ラストの舞台上でフリーズする人々の姿が、
    2人の比翼塚の様で美しくも悲しいなぁと。

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    2008/02/09 12:36

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