ミチユキ → キサラギ 公演情報 仙台市市民文化事業団「ミチユキ → キサラギ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    仙台初日
    平日昼の回はお客さんが少ないと言いますが、1800円という価格設定のためか満員でした。
    初めての人でも比較的観やすいストーリー。自分の存在意義、何のために生きているのかという漠然とした不安、誰かに必要とされている存在への妬みと憧れ、どこかへ行ってしまいたい衝動・・・そんなものを感じる作品でした。舞台のつくりが素敵です。
    パンフは、デザインはいいものの、見づらいのが難点。ちゃんとした冊子にしても良かったと思います。

    ネタバレBOX

    以下、かなりのネタバレです!!そして長いです。

    【全体としては】
    期待度が高かったために、満足度は普通よりちょっと上くらい。
    役者さん達も、経験を重ねている人たちで、ちょっとしたハプニングがあっても慌てず対処し、安心して見れた。

    拍子木のような音は、好みによると思うが、いいアクセントになっていたと思う。でも、和っぽい音楽がちょっとマッチしていない場面も。
    雨の降る場面で、水が流れていたのに感動した!生の水の音を使ったことで、かなりリアルで心に残るシーンになったと思う。

    舞台美術が非常に綺麗に作られており、雪の積もった時の、冷たくて温かい微妙な感じがよく出ていた。


    【かさ】
    この話の重要なアイテムの一つ。
    群集が持っている傘の色合いに不満が残る!
    ちせの赤い傘を目立たせようとして、あまり派手にならないようにしたのかもしれないけど、冒頭や中間で傘の花が咲く場面で、全体の絵が暗くなってしまっていた。もう少し、色のメリハリとバランスが欲しかった。


    【みどりちゃん】
    共感する部分が多かったのが、結婚詐欺に騙されそうになるという役所の緑子。(漢字が合ってるかは不明・・・)
    「定規やはかりでキチンとはかったような人生」というセリフに、すごく胸が痛くなった。道に外れないで生きてきた自分が、何の為に生きているのかわからなくなる。自由に生きられる人を羨ましく思い、その生活に憧れる。

    そして、ちせを殺して自分が代わりに二人と旅をしようとする。
    でもそれは二人には受け入れられなくて、二人にとってちせがどんなに大事な存在か思い知らされる。

    この芝居で一番心にきたシーン。
    「うそのかずちゃんに抱かれるより、本当のかずちゃんに殺された方がいい」という緑子の言葉に、かずは土下座をしてちせを殺さないでと頼むところ。
    心のすれ違いというか、緑子の一方通行な気持ちが、虚しいというか切ないというか・・・。それだけ強いかずの想いを知ったら、もうどうしようもない感じが、辛いなぁと思った。

    ・・・そして、最後の最後に緑子に対しての救いがない?!
    3人は複雑な気持ちを抱えながらも、一つの結論を出したけど、緑子は、誰にも必要としてもらえず、代わりにもなれない。自殺しようとしたにもかかわらず、誰一人として緑子との「これから」を語っていなかった(と思う)。
    もしかしたら、3人が緑子を見捨てずにその場にいた、っていうのが救い?なのかもしれないけど、緑子に感情移入していた私としては、その扱いがちょっと不満。
    みどりちゃんには幸せになって欲しい。

    薬を飲んだ後の、倒れ方の綺麗さには感激!
    傘の向きも計算されており、はらりと倒れる姿は、雪の降る様子に似せたのではないかという印象を受けた。


    【タイトル】
    ミチユキ→「道」「雪」もしくは「道行き」?  キサラギ→「如月」?
    2月に公演をしているが、2月の要素はほとんど無かった?ような感じがする。
    雪に対する緑子の捉え方が印象的だった。

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    2008/02/09 01:01

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