満足度★
甘さ
美術が豪華だし、メインの俳優の熱演は見応えがあった。しかしそれが戯曲の甘さを際立たせていたように思う。
類型の人物とリアリティのない台詞、ありきたりな展開には何か意図があるのだろうと期待したが、最後までそれは見いだせなかった。
劇中、地名が出てきたり、政治や経済に関するトピックが出てきたりして、リサーチの跡を感じたが、作品世界にリアリティがないだけに、活きていないのが残念だ。
社会派としても、エンタメとしても、本気で取り組んでいる演劇人にとっては違和感がある上演だと思う。少なくとも僕にとってはそうだった。
これは下巣の勘ぐりかもしれないが、エンタメ好きにも、社会派好きにも気に入られよう(もし気に入らなかったら他方の要素で溜飲を下げてもらおう)という姿勢が感じられた。
一言で言って、志が低いと思う。