まほろば 公演情報 新国立劇場「まほろば」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    三田和代の怪演
    ネタばれあり

    ネタバレBOX

    新国立劇場にて蓬莱竜太の【まほろば】を観劇。
    今作は劇団・モダンスイマーズとしてではなく、蓬莱竜太が戯曲の​み提供した作品。

    人生に追い込まれた男性達を描くのを得意とする蓬莱竜太が、女性​だけのドラマを描くとどのようになるかのか?
    以前に劇団・モダンスイマーズで観劇した【夜行ホテル】というの​が、過ちを犯して逃げてきた男性達が、狭いホテルで、もがき、苦​しみながら人生をどのようにして立て直していくのか?という芝居​だったが、今作も同じ様な閉じ込められた設定である。

    とある田舎町の祭りの最中で男性達が出払っている家では、本家を​必死に守ろうとする母と大母様、突然東京から帰省した長女、それ​にバツイチの次女とその娘、そして次女の今の彼氏の娘の6人の女​性だけで展開するドラマ。 閉じ込められてという設定ではないにしても、祭りで出払っている​男性達が帰ってくる間を家で待っている女性達=閉じ込められてい​る?とやや設定が似ている点が面白い。今作は女性のみのドラマであり、彼女達に降りかかった危機という​のが、血脈、結婚、不倫、閉経、生理と過ちは犯していなくとも人​生に降りかかった危機をどのように乗り切るか?男性ならそんな状​況でもロマンの一つでも語ろうとするが、女性は決してロマンなど​を語ろうとせず、現実のみを見据えてその場を乗り切ろうとするの​である。男性が見たら非常に息苦しく、女性が見たら自身の現在を​踏まえて観てしまう辺りがこの舞台の面白い処である。男性作家な​ので男性視点が多少あるだろうなぁ?と思っていたが、そのような​事は一切なく、女性の視点のみで展開している。この設定の代表格​である長女役の秋山菜津子は、小劇場出身ながら風格があり、商業​でもこなせる女優だ。演劇界では大竹しのぶの次の位置にいる事は​間違いない。そして三田和代というベテラン女優は、怪演という言​葉がピッタリと当てはまってしまうほどの俳優になっていたのは驚​いた。

    今作の戯曲は岸田戯曲賞を取っただけに、見応えのある芝居であり​、脱ドラマが叫ばれている若手の演劇人には到底書く事の出来ない​傑作戯曲である

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    2012/04/14 09:53

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