満足度★★★★
春狂言らしく
国立能楽堂の茂山関係の狂言会で、こんなに客席が空いていたのは初めての経験で驚きました。
それだけ、伝統芸能の環境も厳しくなってきたということでしょうか。
演目が始まるまでの前説に、茂山元彦さんが登場。
彼はNHK朝ドラの「ちりとてちん」で落語家の役をやったが、上手すぎてNGが出たというほどで、
本職顔負けの話術。落語の枕を聴いているようだった。
一門の狂言師の近況を笑い話に仕立てて話は確かに面白いが、「演目はパンフレットを読めばおわかりかと」とだけ。
これが山本家だと、東次郎さんが演目について、いろいろ興味深い解説をしてくださる。
初めて狂言会に来る人も皆無ではない。
狂言師の名前をまったく知らない人に、家族のおちゃらけ話をされてもチンプンカンプンだろう。
せめて、おちゃらけは3分の1にとどめ、演目についてきちんとした話をすべきだと私は思う、
茂山家の公演数の多さはダントツで、稽古時間の不足や将来の若手の芸を心配する声もある。
いつか、いまのやりかたに限界が来るのではと、私も心配している。
演目の構成は春らしくほのぼのした味わいの狂言が並んだ。