一丁目ぞめき 公演情報 THE SHAMPOO HAT「一丁目ぞめき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    最終日観劇
    癌だった父親が亡くなり、母親は三日三晩何もせず寝込む。
    葬儀の為に20年ぶりに実家に戻ってきた長男、葬儀の喪主で通夜の準備でてんてこ舞いの次男、葬儀の為に集まった従兄弟達とその親族。
    故人、葬式、昭和の時代から古い商店街にある家庭、等これまで幾つかの赤堀作品に見られた背景だけど、「今」のこの状況の中、だらしなく生きている苛立ややるせなさもあったり、でもそれがちょっとした幸せでもあったりと、日常の「生」の匂いと悲と喜が漂ってくるような舞台。

    ネタバレBOX

    しょうもない会話のリアリティ感。
    「禿とデブでなに言ってんのよ!」までの台詞の流れに爆笑。
    父親の死亡原因は実は自殺だった、母親のショック具合。
    やる事なす事振り回され状態の弟がまたどこにでも居そうな小市民で。
    葬儀屋の何気ない一言から父親の死の真相を知る事になった、兄や従兄弟、幼なじみ。言い方悪いけど、立派な馬鹿の取る態度に、彼らの優しさが垣間見えた瞬間だった。

    松田聖子の「白いパラソル」が流行していた時期の父親の地元への貢献が子供心に誇らしく、当人も酔う度自慢していた。その状況を何気に話す態度が、彼の父親への弔いの言葉と思う。また、その場にいた弟、従兄弟。幼なじみ達が一斉に歌い出す場面では何気ない一体感があって、知らず知らずに故縁の良さを彷彿させたりして。
    その当時の幸福感から成人して思い描いていた今とは現状が全く違い、閉塞感もありつつ(みんなそうだろうけど)生きている。兄が弟にバスの運転手に転職する事を告げた後から、母親は部屋の奥から出るキッカケにもなり、少し暖かな余韻が見られた終わりにこの一家の日常が再び動き出すんだろうな、と期待したりして。

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    2012/04/03 01:44

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