ガラスの動物園 公演情報 シス・カンパニー「ガラスの動物園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    家族の回顧録みたいな
    全般的に悔いや哀しさ、絶望に覆われ、爽快感はないけど不思議と嫌悪感は湧かず、むしろもう一度見たいと思わされた舞台だった。
    印象派絵画みたいな舞台セットと、清廉という言葉が似合いそうな舞踊。

    ネタバレBOX

    1930年代に生きるアメリカの下層中流家族(父不在)。
    過去まだ幸福だった頃の生活の思い出に浸り、子供を知らず知らずの内に無意識に追い込んで暮らしている母親。そんな母親に支えられて暮らしてきた姉弟。端から見れば「母ちゃん!」って呼びかけられるタイプと思った。

    現実の生き方に適応出来ない内気な娘。
    繊細な内面とコンプレックスがあるが故の孤立。父親の残したレコードで現実逃避する姿に、見ているこちらはその儚さに目を奪われっぱなし。ワンピース姿が似合ってて可愛かった。
    弟の回想が夢と現実の狭間で足掻き、母と姉が大切な人なのに批判的で非情さも在り、しこりのような葛藤に常にジレンマを感じ生きている。
    天秤にかけられない気持ち、抑制された状況とか、発する台詞の一語一語に胸に詰まる物があった。
    古式懐しいアメリカ人、ジムの快活で誠実さの罪。

    白い舞台、正面奥に机、上手下手の両側に三ヶ所の扉。紗幕使い。
    背景と一体になったり、誰かの心の中から溶け出したかのような踊り。
    運命の終わりを告げるかのような、娘の蝋燭を消す場面の鮮烈で静かな幕切れ。
    素敵な舞台でした。
    個人的に、翻訳物の長塚さんの作品は好みと思った。

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    2012/03/28 02:36

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