満足度★
自分たちが何をしているかが見えているか
舞台はコロシアムのような形式で、四方の上から見下ろすようになっている。
セットも起伏があるもので期待してしまった。
しかし、期待は悪い方に裏切られた。
舞台が始まると役者たちはおかしな喋り方をする。1人以外は「老人」という設定らしいが、どんなシーンでも(老人でないときも)普通の喋り方はほぼしない。
最初は意図があるのかと見守っていたが、どうにもそうは思えない。
せっかくの面白いセットも使いこなせていない。
それから、私が感じた大きなマイナスポイントは、非常に観辛い、ということとがひとつ。
上から見下ろす形のため、前に手すりがあるが、これがちょうど視界を塞ぐ形になっているし、ずっと頭を下げたまま見ることになって首が痛くなった。
照明も上から見られるライティングをあまり考えていたとは思えない。
もうひとつのマイナスは面白くないということ。
面白くないでは御幣を生むが、「走れメロス」を知っている人間にはただの朗読と変わらないものになっているし、知らない人間(子供等)にはよく分からないだろうと思えた。
どの解釈を取ろうとかまわないが、作品解釈も浅くつまらなく感じた。
実際、客席に数人いた子供たちが笑ったのは、役者がおかしな動きをした時と裸になった時くらいだった。
先ほど、「意図がない」の旨書いたが、語弊があると思うのでもう少し書くと、意図はあるのだろうがそれが思いつきでしかない。ということを言いたかったのだ。
「こんな演出をしたらどうだろう」「こんな表現をしてみたい」それは大いに結構だと思うが、それをすることで作品にどんな影響があるのか、観客にどう見えるのかをきちんと考えてない。考えが足りな過ぎるのだ。