満足度★★★
つかこうへいでも・・・笑
長渕剛のBGM、そしてつかこうへいという、私にとっては「最悪」の(つまりどちらも嫌いな)要素がからみついた劇だけに、逆の意味で「楽しみ」にしていた芝居でした。
長渕剛が嫌いな理由は「情念」とか「男の世界」を全面に出されると、私が引いてしまうから。
つかこうへいは、どうも「左翼的共感」(こんな言葉はないし、彼自身「左翼」とは思っていないでしょうから、不正確なのですが)を覚えないでいるからです。彼の作品は「人情モノ」として観る分にはなかなか面白いと思うのですが、こと「革命」だ「闘争」だというキーワードで観ると、「ん、これは単なる任侠の世界で、右も左もないのでは・・・?」と、考え込んでしまうからです。
能書きはここまで。今日の劇は、そんな障壁があるものの、楽しめた劇でした。
一番前の箱の席で、痛いお尻に辟易しながらも、最後まで見続けていられたのは、役者さんたちの「熱演」のおかげだと思います。
最初、「絶叫的台詞」に、「これは難聴になってしまうかも」と(なにしろ最前列ゆえ)危惧しましたが、それもなんのその。役者さんの熱意に負けてしまいました。
安保闘争については、私さえも幼少時の遙か彼方の記憶のものです。
それを、この若い役者さんは、どう解釈して血肉にしているのだろうか、少し興味が湧きましたが、それは分からないことですね。
もし、単なる「人情モノ」として、「ひとつ観客を泣かせてみよう」程度のものでしたら、当時を知る私にとっては、「やっぱりね」と、哀しい思いだけが先行します。
現在も本質的に変わらない、「富めるものの世界」「強いものの世界」に、少しでも一石を投じようとしていたならば嬉しい限りなのですが。
そんなことを思いながら、薄暗くなった池袋の街を、ぶらぶらと歩いて家路に向かいました。
2012/03/31 21:34
劇団のBlogへのコメントもありがとうございます。
演出の清水みき枝です。
Blogの方のコメントには長々お返事させていただきました。
率直な感想、ありがたく思います。
素人が集まる劇団ですので、声も大きさも、動きの雑さも、とにかく大きくすることで、何かが伝わってくれればと、思っています。
演出効果も、まだまだ勉強する事がたくさんあります。
お見せする以上、障害は、ないほうがいいと、もちろん思います。
私の力のなさ故に、できた色彩が、役者達によって、
心地よい色に塗り替えられていたのであれば、こんな嬉しいことはありません。
また是非、見に来てください。
この度は、ありがとうございました。