A MIDSUMMMER NIGHT'S DREAM 公演情報 声を出すと気持ちいいの会「A MIDSUMMMER NIGHT'S DREAM」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    実は問題作
    実は問題作である。
    色んな問題作はあるが、あえてこの日の、この時間に公演を行うという意味付けに託された舞台であった。

    しかし、
    その事による風評被害すらも彼らは受けきる事が義務づけられた。
    何故なら、
    賽は投げられたからだ。




    序文が過ぎた。
    僕自身は、色んな意見もあるだろうが、かなり素晴らしい作品に近づいたものだと感じている。
    しかし僕は観劇をした後に、他に来ておられた観劇仲間にこうつぶやいた。


    「やり逃げですね」




    実はこの一言に全てが表されている。










    ネタバレは避けたい。
    何故なら東京公演が今週末から行われるからだ。
    なので、もうネタバレで感想をアップしようと思う。

    ネタバレBOX

    まず、
    演出的にも役者的にも、さすが東京を勝ち抜いて選抜された劇団だと思った。
    印象的なモノローグから、
    あっという間に下世話な嫉妬から巻き起こるSEX話に絡む嫌な感覚。
    男にとって最大の屈辱。

    「寝取られ」

    それを何ともタッパのある素敵な俳優陣が織り成すのだ。
    それだけで何となく・・・・それっぽい。
    いや、褒め言葉として書いている。
    寝取られる方も、寝取る方にもだ。

    真相が分からない間のやきもき感は、ちりちりと地獄の業火に少しづつ焼かれているような緩い感覚。
    しかしそれが確信(それはまた反転するのだが)に変わった時の人間が壊れる感覚は何とも不愉快。

    そう。
    この物語のキーワードは【不愉快】。

    一体、この物語に盛り込まれた不快なエッセンスはどれほどのものか?
    それらを緩和する為のダンスは小劇場ではかなりのレベルだがまだまだ。
    統一性はとれているが、上には上がある。
    しかしここは小劇場。
    エッセンスとしてのダンスは上手く機能していた。
    が、演出意図としてなのかオブラート程度。

    それよりもひどい真夏の夜の夢が展開されているのだから。


    地震。
    SEX。

    このふたつを安易に結びつけるのは非常に危険だ。
    しかも去年あった地震に結び付けつつSEXだと、そのインパクトだけはかなりの破壊力となって観客を襲う。
    日々、起こったニュース等を砂の嵐のように僕らの感情に刷り込むだけで、言い知れぬ不安感が包み込んでくるからだ。

    だから不愉快なのだ。


    観終わった後の僕の言葉、「やり逃げですね」には、そういった意味が含まれている。
    実際、この作品を観た後に何人かと話をした。
    するとその方は嫌悪もあらわに「無理です」と告げられた。
    実はその方の実家が、そのとある地域だったので濃密に嫌な記憶を揺り動かしたからだという。しかもニュース音声の中に挟み込まれる子供の泣き声などは、極まりないほどの感覚だったらしい。

    また他の方はいう。
    「この作品を、その地方でする勇気があるのか?」
    と。
    確かにその地方の方は正視に堪えられないに違いない。



    だがある方は、
    「何もかもがどストライク」
    と言われた。


    僕は、不愉快を扱ってはいるが、飛びぬけたものを感じている。
    なので凄いとも感じた。
    だから、
    僕は彼らの次の作品を観たいと思った。
    この作品の次のステップはかなり重要になる。

    いや、そんな事も易々と越えそうな感じもあるのだけれど。




    ちなみに、
    その地方に実家のある方は、「他の作品なら観たい」
    と言われた事も追記しておく。

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    2012/03/13 10:10

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