満足度★★★★
す、すごいっ これぞTHE演劇!
いい意味でTHE演劇というか、見応えたっぷりなお芝居でした。テーマが明確で、これを3通りの見せ方で演じた、という感じですね。シンボリックで奥行きのある舞台芸術にまず期待が高まりましたが、前説は???。私は前説もお芝居への期待を高める上でかなり重要なのではないかと思っていますが・・・・・。開演直後のストップモーションを多用した動きも、人間の筋肉の動きがよく感じられて面白かった。このパフォーマンスを取り入れる劇団は多いですが、ここまで長く、完璧な動きを見たのは初めて。役者さんたちのよく鍛えられたボディにほうっとため息が出ました。
脚本も素晴らしいし、役者さん達もすごい。もう、ものすごく緊迫した壮絶な会話劇なのですが、でも絶対に、絶対に噛んじゃいけない劇だなぁ、とも感じた。台詞の噛みは少なかったですが、これだけの会話バトルだとそのわずかな噛みが却って気になる。場面転換に遊びやゆとりがない分だけ、演出家の目指しているものの高さに瑕僅が出てくる感じだ。う~ん、もう少し場面転換の時に面白い動きを入れるとか、音楽を入れるとか、ゆとりがあったほうがよかったんじゃないかな。ミニマムな効果音も素晴らしかったですが、これも却って緊張感を高める感じでしたね。
劇全体のレベルの高さと緊迫感に、私達観客は知らず知らずのうちに完璧を求めてしまうような、そんな劇でした。