君には頭がさがる 公演情報 電動夏子安置システム「君には頭がさがる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    手段が目的にすり替わる。それが帰属意識?
    解っていてもやめられない、形式の束縛から逃れられない。
    そんな人間の滑稽さ、恐ろしさ、切なさが内包されていたような後味でした。

    そもそも入れ札の発端は上沢茂が桑木の枯れた原因を山岡勝に因縁つけた
    ことが口火で勝が実施の言いだしっぺです。
    目的は腹いせによる茂の追放≒因習にかこつけた人身御供選び。
    入れ札は単にその手段。
    ゆえに最初の寄合ではお互いが標的にした上沢茂と山岡節子で札が二分
    されたわけですが…

    ネタバレBOX

    入れ札がやり直されるにつれ標的は徐々に曖昧になってゆき最後山岡と
    上沢が手打ちするに至っては元々の目的が無くなったのだから入れ札も
    やめれば良いのにと見ていて思うわけですが…
    手段が後付けの因習や人々によって目的へすり替わってしまう滑稽さを
    繰り返される入れ札が浮き彫りにしてゆくように感じました。
    人身御供の無意味さを自覚していた事実も明らかにされます。
    娘の一声で直前に入札名を変える山岡家の例など馬鹿馬鹿しい様々も
    見せつけらます。
    それでも兄の捕縛を実は知ってながら一本杉で待ち続けた美代の姿が
    重なることで自覚出来てもやめない、やめられない人間の姿へ馬鹿馬鹿しい
    だけでは括れない複雑な余韻を覚えます。

    入札票推移に係る村人模様に謎含みの里見夫妻が絡む笑いとミステリィの
    融合へ楽しく眼を奪われつつも娯楽だけに終始しない深読みを味あわせて
    貰いました。

    ただラストに里見が早合点で深沢の存在を明らかにする説明台詞の大自爆
    ぶりは物語を一挙に終結させるが如くの強引すぎる力技に見て取れます。
    加えて絢子が書いた最後の入札記名や橋本の敵討ちへの心境が唐突に
    サラリと説明されるだけでは、黒川みたく頭がさがるほどの恐ろしさを
    感じられなかったのも偽り無い実感です。

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    2012/02/28 12:30

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