熱の華 公演情報 セカイアジ「熱の華」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    サスペンスで誘い込んで・・
    時代の色や、雰囲気、
    さらには時間のコントロールもしたたかで
    サスペンスの世界に惹かれたりもするのですが・・・。

    でも、その裏側に具象されたものの顛末にこそ
    心を奪われました。

    ネタバレBOX

    一人の女性の失踪の顛末としても
    サスペンスとしての枠組がしたたかに作られているから
    ちゃんと引き込まれる。
    観る側の興味を手放さない力があって、
    ずっとその物語を追いかける。

    ちょっとレトロな筋立て、
    一応ひねりもなんとなくあって・・・。
    学生運動等の左翼的な活動の色濃い時代でもあり、
    そのトレンドを映して物語は進行していきます。

    組織が育てようとしている植物は
    放射能を浄化してしまうのだという。

    その植物はなかなか芽が出ずに
    すぐ枯れてしまっていたのだけれど、
    たまたま撒かれたお茶の葉っぱに反応して
    急に育っていく。
    どこか怪しげな刑事や
    科学者、さらには学生新聞の記者たちも巻き込んで
    ミステリーの窓の外で、
    世界を覆いつくしていくのです。

    茂りあっという間に成長する植物に具象される
    思想的なトレンドやブームの質感が、
    すっと今の時代の、
    たとえば原子力に対する感触に重なる。
    時代を過去に設定したことで、
    たとえば学生運動で求められた理想の顛末が
    放射能に対して誰もが神経を尖らせ理想を語る
    今の時代と同じ空気を醸成させていく。
    そして、同じように日本がどこか騒然としていた
    過去の物語として舞台が描かれることで
    窓の外で成長し覆いつくしているものの、
    外側からの姿と
    その先行きがすっと浮かび上がっていく。

    役者達が絶妙なバランスで物語の密度を作り出しているからこそ、
    したたかに織り込まれた作り手の意図への気づきが降りてきて・・。
    ラストシーンの醒めた感覚にも
    心を囚われたことでした。






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    2012/02/23 17:07

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