昆虫美学 公演情報 角角ストロガのフ「昆虫美学」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    歪に見えるからこそ伝わってくるもの
    実の事件がベースにあることで
    作り手が描き出したい感覚が、
    拡散することなく、
    より深く観る側を浸しているように感じました。

    正直なところ、観ていて消耗するお芝居ではありましたが、
    これまでの作り手の作品のなかで
    一番フォーカスを絞ってつたわってくる感覚がありました。

    ネタバレBOX

    元になった事件については、
    それなりに知っていたのですが、
    作品を観て、ふっと視野が開けたような感じがしました。

    事件の顛末を語るということであれば、
    現実をトレースしているとは言いがたいし、
    たとえば、新聞などで語られた事実からも
    不器用に乖離したプロットが組みあがっていく・・・。
    でも、もし、事件が理路整然と語られているだけならば
    この舞台はとても薄っぺらなものであったはず。

    作り手は、
    事件の断片を借景や踏み台にしつつ
    キャラクターたちの囚われ陥っていくような感覚を
    ある意味淡々と剥ぎだし、舞台に積み上げていきます。
    違和感があって、
    でも、観ていてそれを違和感と捨てきれず、
    次第に膨らんでいくものがあって。
    だから、舞台の出来事に向かい合っていく中で
    本来、観ることをしないであろう感覚に
    次第に支配されていくのです。
    冷静に考えれば入り込み得ない感覚が
    すっとしみこんできて、
    観る側を捉える。
    そうなると、やってきた感覚をそのままに出来ずに
    さらに見つめ目を見開いてしまうわけで・・。
    そして、そこには、
    事件の醜悪さにまみれることのない
    ブラックホールのような想いの構造というか理が
    作り手の独特の切り口で
    くっきりと紡がれていて。

    観終わって、素に戻れば
    舞台としてのいびつさを感じることは事実。
    でも、そのいびつさをゲートウェイにしなければ
    伝わりえないものが、
    作り手の瞳にはしっかりと剥ぎだされ
    映り込み、表現されているのだろうなぁとおもう。
    その世界を
    実在の事件を下敷きにすることで
    観客の無意識の領域だけではなく、
    あからさまな位置にまでにじませる手段を
    作り手は身に着けたようにも思えて・・・。

    作・演の次の作品がそら恐ろしく、でもとても楽しみになりました。

    2

    2012/02/23 15:54

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  • コメントありがとうございます。

    次回作、覚悟を決めて(笑)、
    楽しみにいたしておりますので。

    2012/03/03 07:10

    ありがとうございます!!こんな風に言っていただけるの、とても嬉しいです。
    感覚的な感想いただけて、読んでいてとても嬉しかったです。
    わーい!!ネタバレも最後まで楽しく読ませていただきました!!
    ありがとうございます!!

    またどろりとした感覚を味わっていただけるようご案内しますね!!

    ご来場、誠にありがとうございました!

    2012/03/03 01:06

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