一匹のカマキリ
”とある家族を滅ぼしたのはたった一匹のカマキリでした”
このたった一文の文章で、即見にいくことを決めました。
この時私は、一匹の昆虫がバタフライ効果のような現象を引き起こしたんだと勝手に想像していました。
確かにカマキリは登場しましたが、自分が想像していたような展開にはならず、舞台が進んで行く中、ひたすら頭の中は疑問だらけ。
勝手に自分の想像で作り上げていたストーリは最後の最後に崩れました。
ストーリーは確かに「一匹のカマキリにより一つの家族が滅ぼされている」事は事実で、膨大なディープな内容をこれほど的確に変換する言葉は無いと思います。
私はこのストーリーが実在していた事も知らず、見終わった後にすぐその存在を調べなくてはいけないという衝動にかられました。
あまりのショックな内容にも関わらず、消耗した体力の中、帰宅する電車の中で、携帯でその内容を確認していました。
帰宅後おもわず兄にその話をすると、兄はその存在を知っていました。
それでも私は必死に兄にその存在を伝えていました。
次の日、兄はその存在が小説化された物を購入してきました。
読むことを勧められ、思わず私は断りましたが、それでも兄は勧めました。
そして
「例え舞台で忠実に再現された内容を見ていたとしても、この内容は知っておく必要がある。偏った見方にならない為にも、様々な媒体でその存在を確認する必要がある」
と言いました。
その存在をリアルに再現された役者さん達の演技もとても素晴らしかったです。
素晴らしいが故に、感情移入してはいけない。
そう思いました。
その存在を客観的に見る必要があると思いながら見ていました。
そして須藤奈々子さん役の塚田まい子さん。
葛藤に挟まれながらの複雑であろうその役を見事に演じられていました。
最後にこの作品というよりはこの”存在”を知る事が出来た事に感謝します。