チェーホフのスペックⅡ 公演情報 カトリ企画UR「チェーホフのスペックⅡ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鮮やかで繊細
    色というか印象の強い舞台でしたが
    ちゃんと深くて繊細なものが残る。

    とても不思議な感覚を抱きつつ
    舞台をがっつりと見続けてしまいました。

    ネタバレBOX

    チェーホフの作品が元ネタとなった2作。

    それぞれに作品の骨までしゃぶりつくような
    表現のつきぬけがあって
    時間など一切感じずに見入ってしまいました。

    ・熊
    役者の性別が逆転することで
    こんなにもいろんなニュアンスが
    生まれるのかと驚きました。

    男優の演じる女性にlしなやかな濃度があり、
    女性のなにか(誤解を恐れずにいえば生臭さのようなもの)が
    すっと男性の持つ骨太さに置き換わることで
    戯曲に描かれた女性の姿が
    さらに鮮やかに見えてくる。

    二人の女優がデフォルメいっぱいに
    演じあげる一人の男性からも
    この手法だからこそ伝わってくる
    何かが削ぎ落とされた、
    鮮やかなニュアンスが湧き上がってきて。

    舞台の絵面がおもしろくて、
    でも、刹那にやってくる滑稽さとは異なる
    戯曲の紡ぎだす肌触りに
    しっかりと取り込まれて・・・。

    彩色豊かで、でも決して大味ではない
    それどころか、
    どこか艶やかな滑らかさに満ちた
    舞台のニュアンスに浸され続けました。

    ・アントンのアングル

    恣意的に構成された世界があって、
    そこに一人の役者が足を踏み入れる・・・。
    そして役者の滴るような技量から
    鮮やかにキャラクターが生まれていきます。
    映像が
    キャラクターの立ち居地や
    記憶の去来の肌触りを作り上げる。
    ナレーションもまたしかり・・・。
    キャラクターのデフォルメがかもし出すリアリティがあって、
    それらが映像に閉じ込められた記憶の質感と重なって、
    いくつもの次元がひとつの感覚としてみる側に置かれる。

    この役者の風貌から、
    女性の頑迷さや
    生きることの感覚が
    とてもしなやかに瑞々しく生まれ伝わってくる驚きと高揚感。

    それは、演劇の空間で
    観客がなにを観ているかということを
    観客自身に思い知らせてもくれて。

    二つの作品を通じて
    狂言回しというか演劇の枠をささえるような
    二人の役者の献身的なお芝居もしっかりと機能して、
    実に見ごたえのある舞台でありました。

    両作を観終えてしばし愕然。
    その観る側の目から鱗が何枚も落ちる面白さに
    感服したことでした。

    0

    2012/02/08 14:45

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大