満足度★★
真摯な身体の探求
鈴木ユキオさん振付作品2本立ての公演で、両作品ともギミック的な要素を用いず身体と空間の関係性を丁寧に探求していて、ストイックな雰囲気に包まれていました。
『EVANESCERE』
鈴木さんのソロで、恐る恐る空間と触れ合おうとする序盤から次第に動きの自由度が増して行き、後半は床に置かれた3つの電球と接しながら静かに踊る作品でした。人の生から死への過程を象徴的に描いているように感じられました。
前半のためらいつつ動くロボットダンス的な動きが目に見えない空気の存在を意識させるようで印象的でした。静けさの中に漂う緊張感が気持ち良く、密度の高い作品でした。
『密かな儀式の目撃者』
昨年の夏にこまばアゴラ劇場で上演された作品ですが、女性ダンサー4人によって踊られること以外は全く異なる作品に変わっていました。
それぞれ異なる格好の4人が動きも独立して動き、いつの間にかその内の2人が同じ動きをするシークエンスが繰り返される構成で、かなり長い間、立ち姿や寝姿で静止しているのが特徴的でしたが、あまりにも展開が緩慢で途中で退屈さを感じることが何度もありました。
やりたいことは分かるのですが、観客の意識を引き寄せるいう点ではアピールが弱いと思いました。