満足度★★★
来年はあるのか
柳亭小痴楽「湯屋番」、小痴楽を襲名してさほど経ってはいないが、語り口に淀みもなく、若旦那の痴態ぶりも悪くない。湯屋の客の反応の間にやや“もたつき”を感じたが、真を打つのもそう遠くはないだろう。
柳家ろべえ「もぐら泥」、小痴楽に比べると、今ひとつ観客の反応を待てず、多少急くところがある。笑わせどころの難しい噺を選んだのも失敗か。
桂歌丸「紺屋高尾」、もう何十年、この人の高座を観てきたか分からないが、語り口にこれだけ変化のない人も珍しい。若いうちに老成してしまったと言うべきか。それほど笑えないのだが、骨董品に文句をつけるのも憚られる面はある。
柳家小三治「お化け長屋」、昨年はかなり調子を落としていたが、今年はやや持ち直した印象。絶妙な間、ちょっとした仕草で笑わせる腕は、当代、敵う者がいない。それでもマクラが長すぎて、肝心の噺がサゲまで行かずに「中程」だったのは残念(もっとも元々長い噺なので端折られることはよくある)。
柳家三三「試し酒」、トリにしては軽い噺だが、酔っ払いの仕草の巧さで充分に笑わせてくれる。しかしこの会で、小三治、歌丸師匠以外の噺家がトリを務めるのは稀で、もしかしたらこれは「引き継ぎ」なのだろうかと、不安な気持ちにもさせられたことであった。