カップルズ 公演情報 鵺的(ぬえてき)「カップルズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    フツウを問う
    目の前に起こってるのは事件。人が超える一線の手前とその先。リアルで生々しい空気と、それを魅力的に包み込む物語の嘘の心地よさ。そのバランス感覚が絶妙。会話劇で応酬されるメリハリの効いた、耳に残る効果的な言葉の数々。重たい内容で衝撃的なシーンもありつつ、観劇後の感じは悪くない。むしろとても心地よい事に驚く。それだけ、丁寧に物語を伝えているから共感や共鳴というより、鵺的の公演に遭遇・同席という感じ。観客と物語の距離感が近く感じる。

    ネタバレBOX

    普通のセックスとは何か。性的な指向の「セックス」はまだまだ個人的なものに追い込まれているし、生物学的な「セックス」はタブーとすらされてる気がする。そんなセックスマイノリティという問題に真っ向から向き合う本作にとても共感する。アフタートークで作演出の高木さんが過去の作品「クイアK」との同一性に触れ、もう一度やりたかった思いを語っていた。幸運にも「クイアK」を観劇し、台本を購入していたので読み直してみると確かに同じテーマだ。どちらの作品にも自分の性的欲求に関して受け入れてしまうと「世界が変わる」という台詞が出てくる。僕の友人にもゲイだとカミングアウトしてくれた人はいるが、誰彼に言える話ではないし、偏見も多いと思う。嗜好というには軽すぎるし、依存や逃避のための行動に貶めるのは不幸だ。劇中に何度も言われる「普通のセックス」とはなんだろう?それを楽しめる人がどれだけいるだろうか?という問い掛けを感じる、良質なエンタメ作品だった。

    物語の中心は、吉川と池谷の男2人だが、その周囲を取り巻く女性陣がリアルで魅力的で、特に宮嶋さんの演じる亜里香に圧倒された。「相手の事を考えてやらないと気持ちよくないよ」と語られる一方でクライマックスで「私のことなんて考えない自分勝手なセックスのほうが興奮する」とも語られる相反するようで相関する哲学。「私と池谷は特別な関係でつながっているのよ」という重み。ラストの「これでつながれたね」も良い。「素直になると壊れてしまう」の台詞が印象的な登場人物の中村の複雑な気持ちもとても丁寧に描かれていたと思う。

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    2012/01/29 22:15

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