びんぼう君 公演情報 五反田団「びんぼう君」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    五反田団の良さがよく出てる舞台
    土日出社の代わりの平日休みにもかかわらず
    直前まで休みか分からなかったため前売り券もなく、
    その結果、前日から当日券4連続の最後にあたり、かなり疲れてましたが(苦笑
    それをすっかり忘れるくらい面白かったです(笑

    具体的には・・
    前日雨の中当日券に並んでBEIRUTで踊って汗だくで雪の中
    ずぶ濡れで家に帰り、翌朝は雪かきしてから日比谷で宝塚の当日券に一時間並んでから
    いったん帰って雪かきを済ませ、
    再び日比谷に戻り、オーシャンを観劇後に池袋で太陽族、
    最後に五反田団・・・(我ながらよくやるなぁ(苦笑

    でも、不思議なことにこうしてぎゅうぎゅうで予定をつめた時に限って
    全て面白くて(どれかつまらなかったらその時点でへこたれてしまう(苦笑
    今朝宝塚の11時の列を見たとき
    「観たかった舞台を3つ見逃さずに済むかもしれない」
    と感じた予感が、何かの運命に導かれたものだったのかもしれないという
    気持ちを確かなものに変えてくれたりもするのです・・・(笑

    (以下、感想はネタばれへ・・)

    ~1/25記入分~

    P.S.
    ちなみに自分が似てるなと思ったものは・・
    「ねこちゃん」(鼻ホームランの森)・・あたり?
    ・・いや、ただの宣伝です(笑
    関係者とかそんなんじゃないですが、素敵すぎなタイトルだったんで・・なんとなく(苦笑
    でも、似てるんじゃないかなと・・ほんと何となくですけど。

    ネタバレBOX

    今回は、五反田団の良さがよく出た舞台だったと思います。

    ある意味「貧乏」という名前のファンタジーを描いたものでもあります。

    ・・けど、この幻想にも似た風景は、
    おそらくつい最近まで日本にあったものにヒントを得たものなのかな、
    とも思うのです。

    それは、途中で3人が月の動きに気づく場面により強く表れているようにも思います。

    現代の(たぶんは現実の人間をカリカチュアライズしているとも思われる)
    お金持ちの友達は、
    「リアルおままごと」という名の、およそ自分には現実感のない幻想
    (共働き?の両親にひとりぼっち家に残されたときに見ている昼メロ?の続きのようでもあります)
    でのみ生き生きと動きます(苦笑

    ただこの子は、2畳よりはるかに広い家に住みながら、
    実際に2畳に住んでいる親子より
    遥かに狭い空想の世界でしか遊べていないのです。

    それは、人形あそびになった瞬間、
    2畳をはるかに飛び越えて(笑
    びんぼう親子が飛び跳ねていることで気づきます。
    (お金持ちの子は当然(笑
    2畳の中でのみ、悲惨な物語のなかを生きます(苦笑

    お金持ちの友達は、
    親子よりはるかにリアリティをもったキャラクターの造形の人形を駆使しながらも、
    想像の世界では2畳を飛び越えることはないのです。

    そして、想像の中だけでのドラマチックだけれどひどく悲観的な世界でだけ、
    眼を(恐怖などで)輝かせるのです。

    ・・まるで、今いる自分の冷え切った世界以外はすべて地獄だとでも
    言い聞かせるみたいにも、見えてしまいます。

    それは、悲惨な海外のニュースで
    自分の幸せを確かめようとしている
    現在の多くの人たちと同じなのではないでしょうか。

    びんぼう親子は、テレビも何もなく、
    切った爪をびんに溜めておいて
    そのうちそれに火をつけることを考えて楽しむくらいしか娯楽は無い(苦笑
    のですが、
    親子で月が動いていることを一緒に感じる事が出来ます。
    それは、金持ちの友達がきっと一生かかってもできないことです。

    一応、言っておきますが、ここでの「びんぼう」は、
    現在の日本のリアルな「びんぼう」というよりかは、
    おそらくは近代の日本に感銘を受けた多くの外国人が感じた
    かつて日本に存在したゆったりとした気風、
    ------------------------------------
    中谷宇吉郎氏の随筆には、
    江戸っ子と地方の行商人の両パターンで
    外国人に風趣豊かに話しかけるエピソードが紹介されています
    -----------------------------------
    に近いもののように感じます・・。

    ・・別にびんぼうになればみんな幸せになると思っている訳ではないのですが、
    ただ、こうした貧乏でも、どこかあくせくしない
    ゆったりとした気風がもう少し今の日本にもあれば、
    もう少し子供たちがのびのびと暮らせる社会になるのかな、とも思うのです。

    ちなみに、自分も昔キン消しなどで友達らと
    エキサイトしまくりながら遊んだりした世代なので(笑
    人形遊びのくだりはとても楽しめました(笑

    あんなにも生き生きと必死に人形遊びに加われる父親は、
    大人の世界では落ちこぼれかもしれないですが、
    子どもにとっては、
    この冷え切った世界で頼れるただ一つの温もりなのかな、
    とも思うのです。

    とても柔らかくて温かく、
    いまの日本にかけているものを多く含んだ素晴らしい芝居だったのではないかな、
    と自分は感じてました。

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    2012/01/24 23:01

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