満足度★★★★
こいつは事件だ
作・演出の安見くんの作品は発想が豊かで、毎回大変面白く拝見している。
前回のサザエントヒルでは、サザエさんとサイレントヒルを混ぜるという冗談みたいな設定で、劇的な枠組みを破壊し、かつそれを現実世界における「現実感」すら破壊しようとする試みをしていた。
今回も彼のそんな発想を楽しみに行った訳だが、
期待を裏切らずとても良い作品だった。
火曜日まで公演中なのでネタバレは控えさせていただくが、
前説から既に気合が入っている。
実はここにも伏線が入っている訳だけれど、このしれっと「これからやるのは馬鹿な作品なんですよー」という顔をしているのがたまらなく面白い。
今回扱っているのは、肉望(元ネタは欲望という名の電車ですから)という普遍性のあるテーマであり、かつそれを根に置いた資本主義経済とその象徴かのような現在日本を描いている。
そして、見事に皮肉って笑いへと昇華している。
多少技巧的に未熟な側面はあるが、これだけ思い切り冗談をかましてくれるとそれすら愛おしい。
お時間のある方は是非この事件を観に行く事をオススメする。