満足度★★★
ヘタウマ的
カットされた場面はあるものの概ね原作通りの上演でした。技術が伴っていないのか、わざとそうしているのか判別し難い、棒読み&早口の台詞回しに奇妙な魅力があり、全然長さを感じさせずに観ることが出来ました(実際、2時間弱と短めの上演時間でしたが)。
素の板張りの床の舞台の中央に大きな円形の台が置かれただけの簡素な空間の中で、段ボールや日用品を加工した衣装や小道具、シンプルな照明など、チープさを際立たせ、台詞や動きも古典の格式といったものを感じさせず、他の人が台詞を言っている間は棒立ちにする等、わざと下手に見える様な演技をしていたのに、ちゃんと『ハムレット』になっていて、戯曲の強さを再確認させられました。
劇団設立時からのメンバーの柄本さん、綾田さん、ベンガルさんの3人は台詞の間合いが絶妙で、特別可笑しいことをしていないのに可笑しみが漂っていました。
ポローニアスを演じた杉山恵一さんの独特な変な感じが印象的でした。オフィーリアを演じた高尾祥子さんの悲痛さを感じさせない狂気の表現の仕方が新鮮でした。
一部の役者は台詞が聞き取り難かったのが残念でした。
初めて『ハムレット』を観る人でもどのような話か分かる演出でしたが、戯曲やオーソドックスな演出を知っていると、その微妙な脱力感をより一層楽しみながら観ることが出来るかと思いました。