満足度★★
幻想的
関西で活動する劇団の初の東京公演で、第二次大戦でニューギニアの戦地に赴いた兵士の物語を、ビートに乗せた台詞と身体表現で描いた、休憩込みで2時間40分の大作でした。
終戦後数年経ってから帰国した男が苦悩する話がファンタスティックに描かれていましたが、戦争の虚しさを訴えるといった様なテーマではなく、生きている人と死んだ人の繋がりをテーマにしていると感じました。ただ、あまり発展しないエピソードが多く、テーマが浮き上がって来ず停滞感があったので、もっと削ぎ落として2時間以内に納めた方が良いと思いました。
作・演出の近藤さんは維新派の出身とのことで、その経歴を感じさせる、関西弁でのラップの様な台詞回しやカクカクとした動きの様式性の強い表現が多用されていました。音楽に合わせたパフォーマンス的なシーンと普通の芝居のシーンが交互に続く構成でしたが、まとまりがなくて統一感に欠けると思いました。
演出が要求する空間のサイズに対して実際のステージが狭く感じられ、窮屈な印象がありました。もう一回り大きなステージで観てみたく思いました。
映像はほとんどモノトーンのシンプルな表現ながらも、とても効果的に使われていて素晴らしかったです。リバーブを用いて声に浮遊感を持たせた音響も、台詞が生々しくなり過ぎず良かったです。