ニューギニア 〜私の楽園〜
非常に残念に感じた。
観劇中、私は絶えず、どこを削ればいいかを考えていた。
気持ちの良さを追求していない作品だったとしても、
心地よく、好意的に、受容的に、見て貰えるような基本的ラインはある。
そしてそれを目指す作業は必須だ。
この作品は、長い。
また、粗い。
一緒に観劇した友人は、このようなDJのスクラッチタイプの作品の例を挙げ、それに全く追いつけていないと批評した。
はっきり言えば、劣っているのだ。
私は大阪・京都<>東京の距離の隔たりを大きく感じた。
東京にあるものが、あちらにない。
あちらにあるものが、東京にない。
このような期待を持って観に行ったのだが、実際は、
東京にあるものが、あちらにない。
あちらにあるものが、東京のものより劣っている。
という事実をたたきつけられたのだった。
これは私の心的印象であり、実際はあちら=Vogaに限定される。
冒頭、銃を持った兵士が集団となって同じ動きをやや長い時間披露するのだが、それが揃っていない。
劇場の狭さの問題ではない。
タイミングと角度の問題。美意識が至らなかったためではないか?
「揃えない」理由は何か? 柔らかい個人主義なのか?
揃えないのならその集団全体で同じ動きをする意味はどの程度あるのか?
良いと思える点はあった。
これまで量産されてきた太平洋戦争ものの空気がなかった。
それは良いと思った。
制作するひとたち自身が、まっさらになってから太平洋戦争と向き合った結果だろう。
満足度★★★★★
無題255(12-008)
19:00の回、18:00受付(整理券あり)、18:30開場〜19:07開演〜途中休憩あり〜21:56終演。大作なので先に一言だけ。毎年夏、戦争についての本を読みます、昨年は、大和、特攻、桜花…など、いずれも「生き残った」方々のお話です。音、光、暗闇、セリフとリズムと節回し、映像と動き、そのどれもが私カラダの中心に届いて来ます。この回で東京公演は終了、満席でオシリが痛くなったけど、みてよかったです、大阪公演のDVD(161分)を購入。
満足度★★
幻想的
関西で活動する劇団の初の東京公演で、第二次大戦でニューギニアの戦地に赴いた兵士の物語を、ビートに乗せた台詞と身体表現で描いた、休憩込みで2時間40分の大作でした。
終戦後数年経ってから帰国した男が苦悩する話がファンタスティックに描かれていましたが、戦争の虚しさを訴えるといった様なテーマではなく、生きている人と死んだ人の繋がりをテーマにしていると感じました。ただ、あまり発展しないエピソードが多く、テーマが浮き上がって来ず停滞感があったので、もっと削ぎ落として2時間以内に納めた方が良いと思いました。
作・演出の近藤さんは維新派の出身とのことで、その経歴を感じさせる、関西弁でのラップの様な台詞回しやカクカクとした動きの様式性の強い表現が多用されていました。音楽に合わせたパフォーマンス的なシーンと普通の芝居のシーンが交互に続く構成でしたが、まとまりがなくて統一感に欠けると思いました。
演出が要求する空間のサイズに対して実際のステージが狭く感じられ、窮屈な印象がありました。もう一回り大きなステージで観てみたく思いました。
映像はほとんどモノトーンのシンプルな表現ながらも、とても効果的に使われていて素晴らしかったです。リバーブを用いて声に浮遊感を持たせた音響も、台詞が生々しくなり過ぎず良かったです。