1924 海戦 公演情報 やなぎみわ 演劇 プロジェクト「1924 海戦」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    意外と青臭い演劇(芸術)論が真っ正面、な印象
    開演15分前から、まるで当時の劇場にいたような、係の人の衣装や、舞台の上を通しての入場など、ちょっとした演出がされていた。
    映像の活用や客席まで使う舞台の使い方など、いろいろと面白要素で凝ってはいたのだが。

    ネタバレBOX

    なんとなく若手劇団の公演の印象。意外と青臭い演劇(芸術)論が真っ正面。
    芸術と大衆とか。

    土方の理想と築地小劇場の旗揚げを描く。
    『海戦』は劇中劇として、ビオメハニカなるロシアの俳優術理論で演出されていた。

    美術作家、やなぎみわさんがプロデュースしたということで、演劇畑でない方(間違っていたらごめんなさい)からの「演劇論」もしくは「日本近代演劇史」的な作品、概論的とも言えるような作品だったように感じた。

    また、3.11以降ということもあり、「関東大震災から復興する帝都と新しい演劇の息吹」というあたりは、直接すぎた感もある。
    テーマだけでなく、表現方法も。

    「リアルな演出ができないから、アバンギャルドに逃げた」なんていう土方への指摘や、彼らが「大衆」と呼ぶ人と、演劇の関係性など興味深いところもあり、それは「へー」とは思うのだが、今ひとつ深いところでの共感ができなかった。
    主人公土方が「「新しいもの」にピンときた、という感覚、つまり、それが自分に一番リアルに感じられるものだったというあたりも面白いのだが。

    イマイチ面白く感じられなかったのは、演劇の歴史に対しての思い入れがないからかもしれないが、それだけでなく、主人公の魅力や、全体的に直截すぎたからということもあろう。
    また、劇中での指摘は、指摘に留まっているだけで、こちらに語りかけてこなかったように感じたからでもある。

    小山内薫が俗物な人でありながら、攻撃的な人という設定がなかなか。
    そして、彼がツイッターをやっていて、「フォローが3人減って、気分良くない」なんていうのがちょっと面白かったりした。

    関東大震災のツイートに、ちらりと「ホントだったら大変 RT井戸に毒が投げ込まれている」というのが見えたりするところも面白い。

    海戦の「船」と彼らの乗る「運命」の「船」と比喩や、客席まで使用したり、映像の多用など、いろいろ細かいところで面白くしようとしていたとは思うのだが、そういう要素が全体をうまく形作っていかなかったのではないだろうか。

    ちなみに、ビオメハニカなんていうものを、今回初めて知った。不思議なのだが、今、小劇場の若手の作品には、ダンスのようなものを取り入れているところが多いのだが、これって、それへの無意識な先祖返りなのかな、と思ったりも。

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    2012/01/06 21:16

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