満足度★★
演技のベクトル差
NLTが、演出にロシアの演出家を、主演に原田大二郎を迎えて送る『検察官』
全体的に俳優の芝居が濃い。
その中で、原田大二郎だけが、家にでもいるかのような自然さ。
よく怒鳴り声を出す演技は観てきたが、原田大二郎の、こんなにも抑制の効いた芝居を観るのは極めて新鮮な味わいがあった。
これがスタニスラフスキーの本国、ロシアの演出家がもたらした物なのだろう。
これが素晴らしかった。
それだけに、ばっちり新劇の周囲と原田大二郎の芝居が噛み合わず、良い意味でも悪い意味でも目立ってしまってはいたが。
検察官に間違われる男・フレスタコフ(=弓澤公望)は未熟さが目立つ。
同色の、自分はアホですとでも言わんばかりの演技が続き、フレスタコフの超長台詞は見てられなかった。