満足度★★★★★
”反骨精神”
一見ミュージカル仕立てのエンターテインメントな舞台かと思いきや、その後はグロテスクなシーンの連続。でも何故かミュージカルシーンだけは非常にポップで明るい。
正直かなり不快に感じながらも、作者の狙い、伝えたいことは一体何なんだろうかと考えながら観てました。
ヒロインのラストの科白「もう何も信じない。人を信用しない」。そしてヒロインを慕い、命を落としてまで彼女を守ろうとした後輩に対して「自分の意思で生きていない!」「楽をしているだけだ!」と突き放す。
作者の訴えたかったことは、今の世の中、一体何を信じれば良いのか?そして社会全体が間違った方向に向かっているはずなのに、それを正しいと思い込んで(思い込もうとして)、”社会の言いなりに楽をして生きている自分達”に対しての痛烈なアンチテーゼなのかなぁと感じた。
決して一般受けはしないであろうテーマを、敢えてクリスマスの時期にぶつけてくるところに作者の”反骨精神”を感じた。
あくまでも個人的な感想なので本当のところは判らないけど。
たとえクリスマスではあっても、綺麗事を並べた舞台より、こういう骨のある舞台を観る事が出来て良かった。