満足度★★★★
不思議な縁も
今月は、劇団室生春カンパニー の「リヤ王」に続いて、今月2本目のシェイクスピア劇です。
この「風」については、存在は知っていたけれど、観る機会にたまたま恵まれませんでした。
正統派の劇団、重厚な劇を公演を基調とする、歴史のある劇団。(違っていたら、私に教えた友人が間違った認識をしていたことになります)
今回観劇した「ハムレット」は、九州の中学・高校を周り、61回の公演を経て、本拠地に戻ってきたと言います。つまり「数をこなしてきたもの」ということなのでしょう。期待に胸をふくらませて、二階にある会場に向かう階段を上りました。
「実験」そんな言葉がぴったりする劇でした。
舞台美術は、誰から見ても「こだわり」を感じるものでしたし、何枚かのパネルの組み合わせ、移動による効果は、劇団の意気込みを感じさせるには十分なものでした。
劇団のホームページを見ると、ブレヒトの作品もたびたび上演するとのこと。(もっと早く知っておけばよかった!ブレヒトは、私が演劇好きになるきっかけを作ってくれた戯曲家ですから。あっ、辻さんの名前を見て気づきました。東京演劇アンサンブルと袂を分けた方々ですね。私にとっては、昔のアンサンブルには、青年期に大変大変触発された劇団ですし、当時の劇団員さんとも仲良くさせていただいたものです。つまりは、この「風」のメンバーさんたちにも、大きな恩恵を受けていることになりますね。不思議な縁を感じます。)
さて、昨日の公演。
しっかりとした構成と、俳優さんの力量の高さを感じました。所謂「新劇」は、せりふが翻訳調で「堅苦しく」なるものなのですが、そこから脱皮させようとする努力も伝わってきました。(まだ完全とは言えないまでも)
それから、この「実験」による表現方法の模索です。私には、正直言って、それが成功していたのかどうかは語ることはできません。
例えば「水槽・・・」も、私にはあまり必然性を感じませんでした。
パネル、背景の色が、あまりコントラストになっていないで、舞台全体が色調で平板になっていたことも、少し気になりました。
とはいえ、劇団の飽くなき「前進」への意欲は、頭が下がります。
古典をそのまま従順にするのではなく、常に新しい解釈、新しい表現を追求していく、青年のような、みずみずしさを持った劇団ですね。
これから、しばらくは注目して、観続け、見守っていきたいと思いました。
素敵な劇を、ありがとうございました。