満足度★★★★
スタイリッシュな寓話
ホラー的な要素もあるちょっと毒のある寓話的な物語を、真っ白なギャラリー空間を上手く使ったスタイリッシュな演出で見せ、作品の一部分として巻き込まれる感じが楽しかったです。
ある島へのツアーに行った人たちが経験した不思議な出来事の報告を聞くという体裁で、物語を通して核技術と人類との関係を比喩的に描いていました。観客はツアーの客という設定で空間全体に席が配置してあり、その間や壁際で演技が行われ、迫力がありました。
全員が身に付ける真っ黒な衣装のそれぞれに凝ったディテールが施してあって、とてもセンスが良いと思いました。小物は全て針金細工で手作り感が溢れていて可愛かったです。音楽はチェロと歌のみでしたが、効果的に使われていました。
世界初とうたっていたキネクトを使用した映像表現は、Max/MSP/Jitter等のプログラミング環境を用いて既に行われている様な内容だったので、新鮮味は感じませんでしたが、効果的に使われていました。
役者は基本的に声を張って喋っていましたが、残響のせいで聞き取りにくかったです。それほど広くもない会場で普通の声量でも十分に聞こえるので、もう少し声の大きさを抑えた方が良いと思いました。