ぼくはだれ 公演情報 RISU PRODUCE「ぼくはだれ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    流石はプロ集団!
    2009年に行なわれた第19回下北沢演劇祭の際に上演した作品の再演。この年の同じ舞台を観ていることから懐かしさでひとしお。
    また同年の7月に大阪で行われているロクソドンタフェスティバル2009にも参加し参加団体24団体の中、見事グランプリを受賞し同時に最優秀脚本&作品賞の三冠賞を獲得した作品でもある。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    裏日記はこちら http://ameblo.jp/misa--misaki/

    ワタクシにとっては再演による観劇だったが、すこ~し脚本をイジッタようで、初演よりはずっと解り易かった。しかし、初演の作品はそれはそれで衝撃的な舞台だったし、今回もストーリーは覚えていたが、まったく新鮮で技能的な舞台でもあった。
    プロ集団!と名乗るだけあってキャストらが演じる緊迫感は客席を飲み込み、コホン!と咳も出来ないような状況の中、確かにズシン!!と心に響いた問題作でもあった。

    ストレイトプレイ会話劇。
    強盗放火殺人事件の被疑者として逮捕された主人公と、刑事達との11日間の攻防。
    作品はかなりリアルに作られており、専門用語も飛び出す。この劇団の持ち味は序盤に観客の全てを目の前に強引に引き込む力があることだ。今回も浜谷康幸が演じる刑事が被疑者に本気でビンタをハルシーンで度肝を抜かれる。浜谷の巨人のような大きな手でだ。苦笑!

    こういった場面を見せつけられると、役者同士の本気のぶつかり合いがこれから始まる舞台の物々しさを予感させるに充分な演出だ。8人のキャストで繰り広げられた取調室での攻防劇だが、8人全員の演技はお見事で大迫力だ!

    強盗放火殺人事件の被疑者として逮捕された亀谷被疑者は潔白を主張するも、これを真っ向から「人殺し」と決め付け暴言を吐く刑事が居た。この刑事が奥田刑事だ。

    妻と子供を殺害された過去を持つ奥田刑事は被害者意識が強く、過去の事件を未だに許せなかった。その為、犯人逮捕に執念を燃やし、その執念はやがて自白の強要や密約、脅しなどで無実の人間を有罪にしてしまうのだった。

    刑事達と犯人との取調室での攻防や被疑者と弁護人のやり取りに緊張感が走り、一瞬たりとも目が離せない舞台だ。まるで映画を観ているような綿密なやり取りに、緊迫感が走る。

    本の練度も秀逸で隙がない。また、それぞれのキャストがこの役を演じる為に生まれてきたように思え、まったく違和感がない。刑事との密約によって被疑者の証言が二転三転する感情の襞のぶれも良く理解できて、素晴らしい舞台だった。その証言の反転に翻弄される弁護人。被疑者を助けたい、と心から思う弁護人は被疑者と刑事の密約を知って、刑事に嵌められた事を悟り、愕然とする。証言を何度も変える被疑者に対して弁護人は呟く。

    「いったい、貴方は誰なんだ?」

    また一方で、殺された家族の復讐の為に殺人を犯した犯人と刑事との攻防では、刑事の人間らしさが垣間見られて、素晴らしい舞台だった。犯人の心情もしかり。
    前回同様、感動で震えた。

    また、終焉後に松本匠が「小劇団というのは中々恵まれないものでして・・、それでもこの舞台をご覧になって、来てよかったと感じて頂ければ幸いです。またこれをきっかけに、舞台で何かを感じ取って頂きましたら、他の小劇場の舞台も是非に観てください。」との実に誠実なコメントがありました。お人柄を感じさせるコメントでした。

    現在、同作品がドラマ化へ向け、企画が進行中でもある。とのこと、こちらも素晴らしいですね。

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    2011/12/07 01:25

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