満足度★★★
エレベーター幻想譚
エレベーターやエレベーターホールを舞台にした、3人の作家による短編のオムニバスで、それぞれ独自の個性を感じさせながらも、共通して幻想的な雰囲気が漂っていました。
『塔』(長堀博士)
鈴木という名の人を追い求めて色々なエレベーターに乗って回る男の物語で、不条理劇的な会話から始まり、頻繁に主体が入れ替わる不思議なテイストでした。話は興味深かったのですが、ドタバタで賑やかな演出が合ってないと思いました。
『Perspective』(夏井孝裕)
エレベーターから降りずにずっと中にいたまま上下し続ける女の話で、「異次元」をキーワードにチェーホフやシェイクスピアの引用や原発ネタを用いた脚本が興味深かったです。後半の静かな長台詞の表現が素敵でした。
『童話が生まれた日』(林灰二)
老人ホームを舞台に現実との繋がりを失いかけている人達が交す、浮遊感のある会話が印象的でした。意図的なのかも知れませんが、各登場人物の設定や関係が分かりにくかったです。
全体的に音楽の使い方が上手いと思いましたが、音楽に頼り過ぎている様にも感じました。もっと役者の演技力で引き込んで欲しかったです。