五反田の夜 公演情報 五反田団「五反田の夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    台詞&会話の掛け合いからずるずると出てくる物語
    やっぱり、台詞と会話が面白い。
    わくわくしながら成り行きを見る。
    全編笑いっぱなし。
    それは、他人のことだから。
    すなわち、自分のことでもあるから、笑うしかない。

    ネタバレBOX

    姉弟がいる。
    姉は、「五反田絆プロジェクト」というボランティアのような活動をしている。
    弟は、不動産屋をリストラされた。

    「五反田絆プロジェクト」は、西田が中心となって、何かをしなければいけない、という衝動に駆られた人たちが集い、折り鶴を折るグループだ。

    西田は、どこにでもいそうな俗物で、「自然農法」とか「成城石井」(笑)とかの、ブランドに弱く、どこから来るのか、強靱な自信を持ち、あらゆる相手を下に見る。
    グループのメンバーである中川は、西田にいいように言われまくる。

    プロジェクトは、五反田肉祭りに参加することになるのだが、西田の横暴ぶりに業を煮やした後藤と大山が結託し、新たなグループ「五反田絆の会」立ち上げる。

    一方、不動産屋をリストラされた弟は、不動産屋の社長の娘に気持ちを寄せていて、仕事の最後の日に、西洋の神々が争って飛び出してくる映画に誘うのだった。

    そんなストーリーである。

    あいかわらずの気持ちいいほどの台詞回しと、その応酬。
    と言っても、リズムがいいので、「凄い」というオーラを押し付けるようなものではない。
    実に自然(風)な、台詞と会話だ。

    この台詞と会話から、ずるずると物語が編み上がって出てくるようなのだ。
    丁度、リリアンというか、そんな感じにずるずると下から物語が出てくる。

    それがとにかく面白い。

    台詞と間と、そんな雰囲気が笑いに変わる。
    全編笑っていた、という印象だ。

    人が集まれば、組織っぽくなって、組織っぽくなれば、権力闘争的な方面へもつれ込ませたい人たちも出てくるし、そう意識していなくても、運営や人間関係でゴタゴタしてくるものだ。
    表面は何もないようでも、水面下ではいろんなことが蠢く。

    そんな、他人事のゴタゴタは面白いわけで、少々身につまされながら笑ってしまう。
    それにしても、グループのリーダー、西田は強烈だ。「ああ、こんな人、いるいる」を少しだけ通り越してしまっているのだが、ニュアンスはわかる。
    いる、こういう人。

    自然農法的なモノを成城石井のようなブランドと同格にして(成城石井をブランドとしてとらえるという視点は今様でナイスだ!)、それを崇め、さらに人に「いいものだから」と押し付けるところがなんとも言えない。そういう自分が好きだというのもよくあることだ。
    そうした人(たち)を笑いものにして、ナニかを批判している、ともとれるのかもしれないが、それよりは、人の中に「面白いモノを見つけた」から描いてみました、というあたりが本音ではないだろうか。

    人を、つまり、他人を見ていると、面白いコトはたくさんある。
    それは他人だから。「他人を観察する」はすなわち「自分観察」でもあるわけで、他人の中に見えるものを自分の中で探すという作業は、役名と実名が一緒であるという、この舞台において、そういう作劇の工程は、たぶん、相当愉快で、少しスリリングでもあろう。
    もちろん、その工程を考えてみるまでもなく、やっぱり舞台の上の出来事は、観客自身のことでもあるということで、だから、観客は大笑いしてしまうという構図になってくる。

    例えば、組織の人間関係、人間模様だったり、例えば、弟と不動産屋の娘との、映画終わりの手つなぎシーンなどだったりする。手つなぎシーンは、こってり見せてくれて、「恋愛あるある」から逸脱していくのだが、そういう滑稽さは、やっぱり「あるある」であり、「なんか、わかるよねー」の感じになる。それを超えるので笑いになっていくのだが。

    こうした日常的な「あるある」感の、少し歪んだ描写は徹底しているから面白い。ホントに他人のことは面白いのだ。
    これは「自分たちのこと」なんだよねー。

    …このあたりのことは、「他人の描写=演じる」っていうことは、結局「自分の中にあるものを整理してみる」ということなのかな、という、当たり前っぽい展開になっているかもしれない…。

    そして、場面展開の面白さがある。例えば、キャスター付きの椅子に座ってガラガラと現れたり、会話の途中で、人々に指だけで担がれて舞台を去っていったり、そんな演出も、うまい塩梅で面白い。
    さらに、移動撮影的な、映像的なラストシーンのバカバカしさは、お見事。

    そして、当パンを見ると、山田さんが急病で降板したことがよく伝わった(お大事に!)。

    さらに成城石井が五反田にも出来たことを知った舞台でもあった。

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    2011/11/18 07:21

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