満足度★★★
移民、歴史
奇妙な世界観で将来の日本の姿を描き、歴史や移民について考えさせる作品でした。
某有名ミュージシャン夫妻や牛やダークマター等をモチーフにしたナンセンスに見える断片的なエピソードが時間が経過に従って次第に組み合わさって意味を帯ていく脚本が面白かったです。常に鼻をほじくっていたり、屁をしたり、セックスの露骨な描写等、人を不快にさせる要素と、スラップスティックな笑いの要素が並列して表現されていて、奇妙な雰囲気が漂っていました。前半は心動かされることがなかったのですが、歴史を書き換えて行くシーンでは少し笑わせられながらも現実の歴史もその様に扱われているのではないかと怖さを感じ、終盤の展開は何とも言えない感情を刺激され、良かったです。タイトルが内容とどう関連しているのかが全然分からず、モヤモヤ感が残りました。
元々体育館であった会場をそのまま見せる即物的な美術や、ステージ上の音をマイクで拾って増幅させハウリングを起こさせたり、可聴域ギリギリの高周波を流したりと不穏な空気を演出していた音響も独特の世界観の構築に大きく寄与していました。
絶えずニヤニヤと薄気味悪い笑顔でバランスを崩した激しい動きを行う成河さんと鷲尾英彰さんが印象に残りました。