沼辺者 公演情報 浮世企画「沼辺者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    公演を重ねるごとによくなっている
    戦争が起きて、ミサイルが落ちて、穴があいた。」というと、3.11以降を意識した作品かと想像したが違っていた。

    私には独立プロ全盛期の新藤兼人の作品や安部公房の「砂の女」を思わせるような、ゾクゾクッとするものがあった。

    浮世企画は旗揚げから観ているが、旗揚げ時の未整理感がなくなり、公演を重ねるごとに良くなっていっている。

    今城文恵は、現代人の日常生活を描きながら、人の心の中に潜む「黒い罠」のようなものを描いている。

    女性作家としては異色の作品を生み出しているので、興味がある。

    ネタバレBOX

    ホームレス男ムラノに、岩田裕耳の個性が生かされていた。優しいがベタベタしたところがなく、適度な距離感を保っている男。

    その「距離感」にはこの男の過去が隠されている。

    斉藤マッチュ(劇団銀石)が登場した時、本当に彼なのかと思うほど、いままで観てきたイメージと違っていて驚いた。

    ディベロッパー企業の社長の息子として甘やかされて育ち、軽薄さと残酷さを併せ持つ若者を自然に演じて新鮮だった。

    現代劇に出演した歌舞伎俳優のような新鮮さと言うべきか?

    バーのママで黒幕の古市海見子が生き生きしていた。JACROWでいえば蒻崎今日子の役どころだろう。

    関寛之の「世をしのぶ仮の姿」の按摩の二面性、カッパのような少女の宮本愛美の可愛らしさもよかった。

    ラストの衝撃にやられた。救いがない結末だが、鶴屋南北みたいな暗さがいい。

    ラストの回想場面に、屈託のない日常を送っていた男たちが映し出され、切なさが迫る。

    欲を言えば、歳月を経て、復讐する側、される側の2人の男の表に描かれない面をもう少し丁寧にあぶりだしてほしかった。

    「ウキヨウエスタン」ということらしく、何人かがウエスタン・ブーツを履いていたり、女性の衣装がどことなく西部劇風なのが面白い。

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    2011/10/12 15:23

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