満足度★★★
人間と動物
野毛山動物園の中の広場での野外公演で、子供や動物の声が響く中で、動物園のイベントでありがちな可愛く楽しいものでなはく、シリアスなパフォーマンスが繰り広げられました。
空高く投げて落ちてきたソーセージを奪い合う3人のシーンに続いて「こうして僕達は動物を奪い合って来たのです」との台詞があり、次にお互いが頭に被っているビニール袋を払い落とし、「見ないの?」と詰問するシーン、袋を奪い取って「何が入っているの?」と訪ねるシーンが続き、食べ物としてパッケージングされた動物と人間の関係がダンス的ではない暴力的な動きを通して描かれていました。次にシューベルトの『アヴェ・マリア』が流れる中を柔らかな動きで踊ったて平穏な雰囲気になり、ペットの犬とのエピソードが各ダンサーや録音で多重的に語られ、最後はシャボン玉を吹いて希望を感じさせる終わり方でした。
劇場では凝縮されたエネルギーとして感じられるであろう表現が屋外空間だと拡散した印象になっていたのが、少々残念でした。
抽象的な表現でありながら人間と動物の関係を考えさせるメッセージが比較的分かり易く表現されていて、アフタートークでも解説があったりと、普段コンテンポラリーなパフォーマンスを観ない人にもコンタクトしようとする姿勢が印象に残りました。